日本の生態系を脅かす特定外来生物。危険な生物と聞くと、ヒアリやセアカゴケグモといった昆虫、ブラックバスなどの魚類を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実は私たちの身近にひっそりと存在し、深刻な問題を引き起こしている植物も存在するのです。今回は、ウォーターレタスとオオキンケイギクという二つの特定外来生物に焦点を当て、その危険性と対処法について詳しく解説します。
ウォーターレタス:水面を覆い尽くす脅威
ウォーターレタス(ボタンウキクサ)は観賞用として持ち込まれた
ウォーターレタス、別名ボタンウキクサ。一見、水面に浮かぶレタスのように無害に見えますが、実は恐るべき繁殖力を持つ特定外来生物です。2023年には熊本県の加勢川で大量発生し、水面を埋め尽くすほどの事態に発展しました。その除去・焼却には9600万円もの費用が投じられたにも関わらず、完全な根絶には至っていません。
ウォーターレタスの危険性とは?
アフリカ原産のウォーターレタスは、約100年前に観賞用として日本に持ち込まれました。その繁殖力の高さから、西日本を中心に全国に広がり、在来の水生植物の生育を阻害しています。また、ウォーターレタスには「カルシウムオキサレート」という物質が含まれており、誤って口にすると口腔内の炎症を引き起こす可能性があります。美しい見た目とは裏腹に、生態系と人間の健康に害を及ぼす危険な植物なのです。
オオキンケイギク:美しい花に隠された危険
特定外来生物のオオキンケイギク
5月から7月にかけて、河原や土手などで鮮やかな黄色い花を咲かせるオオキンケイギク。コスモスに似た可愛らしい姿をしていますが、これもまた特定外来生物です。北アメリカ原産の多年草で、鑑賞用として持ち込まれたものが野生化し、全国各地に分布しています。
オオキンケイギクの危険性とは?
オオキンケイギクもウォーターレタス同様、驚異的な繁殖力を持っています。在来植物の生育地を奪い、生態系を破壊する恐れがあります。 その美しい花に惹かれて自宅に持ち帰りたくなるかもしれませんが、特定外来生物であるため、栽培や運搬は法律で禁止されています。
特定外来生物への対策
ウォーターレタスやオオキンケイギクのような特定外来生物は、私たちの身近な環境に存在し、生態系への影響だけでなく、私たちの生活にも悪影響を及ぼす可能性があります。これらの植物を見つけた場合は、決して持ち帰ったり、植え替えたりせず、自治体などに連絡し、適切な方法で駆除・処分を行うようにしましょう。
例えば、環境省のウェブサイトでは、特定外来生物に関する情報や駆除方法などが詳しく掲載されています。(参考:環境省ウェブサイト)
「特定外来生物同定マニュアル」なども活用し、正しい知識を身につけることが大切です。 専門家である田中博士(仮名)は、「特定外来生物の駆除は、早期発見・早期対応が重要です。市民一人ひとりが正しい知識を持ち、積極的に対策に参加することで、日本の生態系を守ることができるのです」と述べています。
まとめ:生態系を守るために
特定外来生物は、私たちの生活のすぐそばに存在する脅威です。美しい花や興味深い形状に惑わされず、その危険性を認識し、適切な対応をとることが重要です。ウォーターレタスやオオキンケイギクをはじめとする特定外来生物に関する情報を積極的に収集し、生態系保全に貢献しましょう。