韓国で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する逮捕状執行を巡り、警察と大統領警護処の対立が激化しています。大統領の所在を把握している警察は、警護処による令状執行妨害に対し、現行犯逮捕も辞さない構えを見せており、政界に緊張が走っています。
逮捕状執行妨害で警護処職員の現行犯逮捕も視野に
警察庁国家捜査本部非常戒厳特別捜査団(特捜団)は6日、ソウル市内で緊急ブリーフィングを開催。尹大統領に対する2回目の逮捕状執行の際に、警護処職員が執行を妨害した場合、現行犯逮捕を検討する方針を明らかにしました。1月3日に行われた1回目の逮捕状執行では、警護処職員約200人が執行を阻止し、身柄確保に至りませんでした。
韓国警察の記者会見の様子
特捜団と高位公職者犯罪捜査処(公捜処)は合同捜査本部を設置し、2回目の逮捕状執行を検討しています。警察は尹大統領の所在を把握しており、次回の執行時には1回目よりも多くの要員を投入する方針です。1回目の執行には、公捜処30人、特捜団120人の計150人が投入されましたが、警護処の抵抗に遭い失敗に終わりました。
警護処は軍兵士も動員、警察は特殊部隊投入を検討も断念
警護処は1回目の執行時に、首都防衛司令部所属の55警備団や33軍事警察警護隊の一般兵士を動員していたことが明らかになりました。警察側も特殊部隊や刑事機動隊の投入を検討しましたが、違法性の懸念から見送ったとのことです。
警護処は現場要員の安全を理由に令状執行の中止を主張しましたが、警察は2回目の執行においては安全上の懸念で執行を中断することはないと断言しています。「十分な準備を整えれば令状執行は可能」と特捜団関係者は語っています。
公捜処との協力体制維持、合同捜査本部で捜査継続
警察は公捜処との協力体制を維持し、合同捜査本部で尹大統領に対する捜査を継続する方針です。逮捕状執行の手続きを巡って両者の間で意見の相違がありましたが、合同捜査本部として捜査を進めることで合意しました。
公捜処は特捜団に逮捕状の執行権限を委譲する公文書を送付しましたが、特捜団は法的解釈の違いを理由にこれを拒否しました。しかし、その後の協議でこの問題は解決し、捜査は継続される見込みです。
捜査対象は拡大、今後の展開に注目
警察は内乱容疑などで、尹大統領を含む大統領室・与党関係者25人、軍関係者19人、警察関係者5人を捜査対象としていることを明らかにしました。1回目の執行妨害で警護処長らも立件されており、捜査はさらに拡大する可能性があります。
今後の捜査の進展、そして2回目の逮捕状執行がいつ、どのように行われるのか、韓国政界の動向に注目が集まっています。