原価4円の紙が100円で売れる…江戸時代から日本人を一喜一憂させてきた「おみくじ」のルーツ


【画像】氷川神社の表参道

 ※本稿は、川上徹也『「運のいい人」は神社で何をしているのか』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。

■原価率が高い優れたエンターテインメント商品

 「おみくじ」は、ビジネスやマーケティングの視点で考えても、卓越した発想で作られた、優れた商品です。

 おみくじは100円が主流ですが、利益率が高いのが特徴です。一般的なおみくじの卸値は1000枚で4000円程度だといわれています。1枚あたり約4円です。もっとも在庫はかなり持っておく必要はありますが、原価はわずかにもかかわらず、多くの人が嬉々としてお金を払い、その結果に一喜一憂します。

 冷静に考えると、結果は偶然と考えるのが合理的です。占いがそうであるように、書かれていることも多くの人にあてはまるように記述されています。

 もちろんそう頭ではわかっている私も、大吉が出るととても嬉しく感じます。また昨年、今まで一度もひいたことがなかった「凶」が2回連続で出た時は、ちょっと気になりました。書かれていることも何となく心あたりがあったので余計に(これも誰にでも当てはまる記述なのですが)。それだけ、エンターテインメントとして、よくできたシステムだと思います。

■始まりは比叡山延暦寺の「元三大師百籤」

 本来、おみくじは吉・凶に一喜一憂するものではなく、大切なのは書かれている内容そのものだといいます。「吉が出たからといって慢心しておみくじに書かれたことを守らないと凶になる」「凶が出ても書かれていることに気をつければ吉に変換できる」ということが、書かれているのです。

 おみくじは、平安時代に天台宗比叡山延暦寺の高僧だった元三慈恵大師良源が、中国発祥の籤(くじ)を参考に、「元三大師百籤(ひゃくせん)」という日本版のくじを作ったのが始まりだといわれています。



Source link