衆議院議員の定数削減をめぐる議論が、臨時国会で大きな焦点となっている。主導する日本維新の会は一歩も引かない構えだが、臨時国会の会期末は12月17日。維新と自民が共同提出した「衆院議員定数削減法案」は、審議入りさえしていないが、両党幹部は「会期延長」も口にしている。16日には維新の吉村洋文代表(大阪府知事)と高市早苗首相(自民党総裁)の党首会談も行われる。定数削減をめぐって大きく揺れる国会だが、そもそも今回の定数削減の議論に大義はあるのか。
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■維新は「身を切る改革」が党是
「法案を成立させるには衆院を通過するだけでなく、参院でも可決する必要がある。時間切れで、今国会中での成立は見送りになる公算が大きいです」
と、時事通信解説委員の山田惠資氏は解説する。流れは見送りで固まりつつあるように見えるが、維新の吉村代表は12日、「結論を出さずに終わる政治はまっぴらごめんです。会期延長したらいいと思います」などと不満を口にした。同調するかのように自民党の鈴木俊一幹事長も14日、「会期を延長することも選択肢の一つ」と述べた。
そもそもの発端は公明党との連立を解消した自民党が、新たに維新と連立を組んだためだ。10月20日に結んだ自民と維新の連立合意には「衆院議員定数を約1割削減する」という方針が明記され、今国会に議員立法で法案を提出し成立をめざすとした。維新は「身を切る改革」を党是としており、本拠地の大阪府議会でも定数削減を進めてきた。山田氏は説明する。
「公明が自民との連立を離脱し、維新がチャンスと見て高市氏に接近した。その協議で、議員定数削減を提案したのです。自民党にとっては企業・団体献金の禁止はハードルが高すぎる。代わりに出てきたのが議員定数削減。吉村さんは『定数削減はセンターピンだ』と言っていますが、企業・団体献金の禁止からセンターピンを定数削減にシフトさせたんですよ」
高市首相は実際、11月26日の党首討論での企業・団体献金の規制についての質問に対し、「そんなことよりも、ぜひ、定数の削減やりましょうよ」と訴え、物議を醸した。






