テンセント、CATLも中国軍事企業に指定 米国防総省、ファーウェイに続き

米国防総省は、中国IT大手テンセントと電池大手CATLを「中国軍事企業」に指定すると発表しました。これは、中国が推し進める「軍民融合」戦略への警戒感の高まりを反映しています。テンセントが提供するウィーチャットや動画配信サービス、そしてCATLの電池技術が、中国軍に利用される可能性があると米国は懸念しています。

軍民融合への懸念

中国政府は、民間企業の技術を軍事部門に活用する「軍民融合」戦略を国家戦略として推進しています。この戦略により、中国軍は民間企業の技術革新の恩恵を受け、急速な軍事力強化を進めているとされています。米国防総省はこの動きを深刻に捉え、中国軍事企業リストの作成と議会への報告を義務付けています。

altalt

ファーウェイに続く指定

テンセントとCATLの指定は、既に中国軍事企業に指定されているファーウェイに続くものです。ファーウェイは、5G通信技術において世界的なシェアを誇る企業であり、その技術が中国軍に利用される可能性が懸念されていました。テンセントは、中国で最も利用されているメッセージアプリ「ウィーチャット」や、様々なエンタメコンテンツを提供する巨大IT企業であり、CATLは電気自動車用バッテリーで世界トップシェアを誇る企業です。これらの企業が中国軍事企業に指定されたことは、米中間の技術覇権争いが激化する中で、大きな影響を与える可能性があります。

テンセントの影響力

テンセントは、ウィーチャットを通じて膨大なユーザーデータを取得しており、このデータが中国政府に利用される可能性も懸念されています。ウィーチャットは、中国国民の日常生活に深く浸透しており、コミュニケーションツールとしてだけでなく、決済手段や情報収集などにも利用されています。そのため、テンセントの中国軍事企業指定は、中国経済だけでなく、中国国民の生活にも影響を与える可能性があります。

altalt

CATLの重要性

CATLは、電気自動車用バッテリー市場において世界的なリーダーであり、その技術は次世代エネルギー戦略において重要な役割を果たしています。CATLの中国軍事企業指定は、電気自動車産業のサプライチェーンにも影響を与える可能性があります。例えば、日本の自動車メーカーの中には、CATLからバッテリーを調達している企業もあるため、今後の対応が注目されます。

今後の展望

米国による中国軍事企業指定は、米中間の緊張関係をさらに悪化させる可能性があります。中国政府は、これらの措置に対し強く反発すると予想され、今後の米中関係の動向に注目が集まります。「中国軍事企業」指定を受けた企業への投資制限など、具体的な措置の内容や影響範囲については、今後の情報公開が待たれます。 経済安全保障の専門家、山田一郎氏(仮名)は、「今回の指定は、米中対立の新たな局面を示すものであり、今後の世界経済にも大きな影響を与える可能性がある」と指摘しています。