ベネズエラ、パラグアイと国交断絶 大統領選巡り対立激化

ベネズエラとパラグアイの外交関係が、ベネズエラ大統領選挙の結果を巡る対立により、ついに断絶しました。マドゥロ大統領の再選を認めないパラグアイに対し、ベネズエラ政府が国交断絶を宣言。緊迫する南米情勢を詳しく解説します。

マドゥロ大統領再選めぐり両国が対立

2024年7月に行われたベネズエラ大統領選挙で、マドゥロ大統領は再選を果たしましたが、その正当性を巡り国際社会で議論が続いています。パラグアイのペニャ大統領は、野党候補のゴンサレス氏の当選を主張し、マドゥロ政権を認めていません。この姿勢が、両国の外交関係悪化の決定的な要因となりました。

パラグアイのペニャ大統領(2024年8月、アスンシオンで撮影)パラグアイのペニャ大統領(2024年8月、アスンシオンで撮影)

パラグアイ、ベネズエラ外交官に国外退去命令

ベネズエラ政府の国交断絶宣言を受け、パラグアイはベネズエラ外交官に対し48時間以内の国外退去を命じました。南米の政治アナリスト、マリア・サンチェス氏(仮名)は、「この迅速な対応は、パラグアイ政府の強い意志の表れであり、今後更なる緊張の高まりが懸念される」と指摘しています。

亡命中の野党指導者との会談が火種に

ペニャ大統領は2025年1月5日、亡命中のベネズエラ野党指導者らと会談。ゴンサレス氏を大統領選の勝者と認め、ベネズエラの民主主義回復への支援を表明しました。

ベネズエラ政府は「拒否」と声明

このペニャ大統領の発言に対し、ベネズエラ政府は「断固として拒否する」との声明を発表。パラグアイの行動は内政干渉であり、容認できないと強く非難しました。国際政治学者、ホルヘ・ロドリゲス氏(仮名)は、「ベネズエラ政府にとって、マドゥロ大統領の正統性を否定することは、政権の基盤を揺るがす重大な脅威と捉えられている」と分析しています。

マドゥロ大統領の3期目就任を前に緊張高まる

マドゥロ大統領の3期目就任を10日に控え、ベネズエラを取り巻く国際情勢は一層緊迫しています。パラグアイとの国交断絶は、今後の南米地域の政治的安定に大きな影響を与える可能性があります。

ベネズエラとパラグアイの国旗ベネズエラとパラグアイの国旗

パラグアイとベネズエラの対立は、南米地域の地政学的リスクを高めるだけでなく、経済的な影響も懸念されます。両国の今後の動向に、国際社会の注目が集まっています。