マクドナルドが、多様性・公平性・包括性(DEI)に関する取り組みを縮小すると発表しました。これは、米最高裁が大学入学選考におけるアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)を違憲とした判決を受けた動きで、米国企業のDEI戦略に大きな変化が起きていることを示唆しています。本記事では、マクドナルドの方針転換の背景や今後の影響について詳しく解説します。
マクドナルドのDEI縮小、その内容とは?
マクドナルドは、サプライヤーへのDEI目標設定の撤廃、外部機関による企業多様性評価からの撤退、そして社内組織の名称変更など、具体的なDEI縮小策を発表しました。「グローバルインクルージョンチーム」への改称からも、多様性推進というよりも、既存の従業員の包括的な環境づくりに重点を置く姿勢が伺えます。
alt
(マクドナルドの看板。米国ミシガン州ディアボーンにて撮影。)
最高裁判決と米国企業の動向
2023年6月、米最高裁はアファーマティブ・アクションを違憲と判断。この判決は、大学入学選考だけでなく、企業の採用活動や昇進などにも影響を与えると予想され、多くの企業がDEI戦略の見直しを迫られています。マクドナルドもその流れに沿った形となり、フォードやハーレーダビッドソン、ジョンディア、ジャックダニエルなど、既に同様の動きを見せている企業に追随する形となりました。
マクドナルドの主張と専門家の見解
マクドナルドは、今回の変更は包括性へのコミットメントを放棄するものではないと強調しています。創業者の理念に基づき、「人々のためのビジネス」であることを改めて表明しています。しかし、人事コンサルタントの山田花子さん(仮名)は、「DEI目標設定の撤廃は、企業の多様性推進への取り組みが後退する可能性を示唆している」と指摘。企業が数値目標を設定することで、多様性の実現に向けた具体的な行動が促進される側面があったため、目標撤廃の影響が懸念されます。
DEI縮小の波紋:今後の展望
マクドナルドの決定は、他の企業のDEI戦略にも影響を与える可能性があります。特に、グローバル企業は、各国の法規制や社会情勢を踏まえながら、慎重にDEI戦略を再評価する必要に迫られるでしょう。今後の米国企業の動向、そして日本企業への影響にも注目が集まります。
まとめ:変化の時代に求められる企業の姿勢
マクドナルドのDEI縮小は、米国の社会情勢と企業の対応が複雑に絡み合った結果です。多様性を尊重しつつ、公平性を確保するという難題に、企業はどのように向き合っていくべきなのでしょうか。今後の動向から目が離せません。