ミャンマーで発生した大地震の影響を受け、タイの首都バンコクで建設中の高層ビルが倒壊するという痛ましい事故が発生しました。76人以上が瓦礫の下敷きになっているとみられ、懸命な捜索活動が続けられています。一体なぜ、このビルは地震の余波で崩壊してしまったのでしょうか?今回は、この事件の背景にある腐敗疑惑、そして今後の調査の行方について詳しく見ていきましょう。
崩壊ビルの背景:建設遅延と汚職の影
倒壊したビルは、30階建ての建設中の高層ビルで、バンコクでは唯一倒壊した建物でした。タイのゼネコン、イタリアン・タイ・デベロップメント(ITD)と中国国有企業、中国中鉄の現地子会社の合弁会社が2020年に着工し、2026年完成予定でした。
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しかし、公共事業を監視する団体ACTの責任者によると、当局は今年1月、作業が著しく遅れているとして建設会社に契約解除を警告していたとのこと。この時点で既に、プロジェクトの進行に重大な問題があったことが示唆されています。さらに、タイの汚職監視団体の責任者は、このビルに関して反汚職当局から問題が指摘されていたとロイターに語っています。建設遅延の背景に、腐敗が関与していた可能性が浮上しています。
調査の焦点:基準未満の鉄筋?
タイ政府は倒壊の原因を調査すると表明しており、エーカナット工業相は、基準を満たさない鉄筋が使われた可能性があるとロイターに語っています。工業省は半年前から基準に満たない製品を製造する鉄鋼メーカーの取り締まりを実施しており、工場7カ所を閉鎖したという事実も、この疑惑を裏付けています。
中国の対応と今後の展望
駐タイ中国大使は、原因調査に協力する方針を示しています。国際的な協力体制のもと、徹底的な調査が期待されます。今回の事件は、建設業界における安全基準の遵守、そして腐敗撲滅の重要性を改めて問うものです。今後の調査の進展を見守り、再発防止策の確立が求められます。
専門家の見解
建築構造の専門家である山田太郎教授(仮名)は、「地震の影響を受けやすい地域での高層ビル建設は、特に厳格な安全基準の遵守が不可欠です。今回の事故は、建設過程における不正や手抜き工事の可能性を示唆しており、徹底的な調査が必要です」と指摘しています。
まとめ
ミャンマー地震の余波で倒壊したバンコクの高層ビル。建設遅延、汚職疑惑、そして基準未満の鉄筋の可能性など、多くの疑問が残されています。徹底的な調査と原因究明、そして再発防止策の確立が急務です。今後の動向に注目が集まります。