ソウル市が誘致を目指す2036年夏季オリンピック。48年ぶりとなる五輪開催に向け、準備は着々と進められています。経済的な妥当性や市民の支持も高く、実現への期待が高まっている今、その詳細を紐解いていきましょう。
ソウル市民の五輪への熱い想い
ソウル市が実施した市民アンケート調査によると、実に85.2%が五輪誘致に賛成しています。さらに、93%もの市民が五輪の成功開催に期待を寄せているという結果も出ており、ソウル市民の五輪への熱い想いが伺えます。1988年のソウル五輪から48年、再び世界的なスポーツの祭典をソウルで開催したいという機運が高まっているのです。
altソウル市民の五輪誘致への支持を示すグラフ
経済効果と費用対効果
2024年5月から11月にかけて実施された調査では、開催費用は約3248億円、経済効果は約3347億円と試算されています。費用対効果(B/C)は1.03となり、経済的な妥当性が確認されました。
費用と便益の内訳
開催費用は、大会運営費（試合運営、宿泊、文化イベント、広報など）が約3788億円(全体の69.7%)、施設費（競技場改修や仮設施設設置など）が約1650億円(全体の30.3%)となっています。
一方、経済効果には、市民の支払意思額などの非市場的便益約2066億円に加え、IOCからの支援金、マーケティング収益、チケット販売収益など約2718億円が含まれています。
既存施設の活用で費用削減
ソウル市は、1988年のソウル五輪で使用された施設を最大限活用することで、開催費用を大幅に削減する計画です。例えば、メイン会場だった蚕室オリンピック主競技場は改修を行い、不足する施設は他の自治体と共同で使用するなど、効率的な運営を目指しています。
専門家の見解
スポーツ経済学の専門家、金哲洙（キム・チョルス/仮名）氏は、「既存施設の活用は、費用削減だけでなく、持続可能な開発目標(SDGs)にも合致する素晴らしい戦略だ」と評価しています。
オ・セフン市長の力強いメッセージ
オ・セフン市長は、「2036年ソウル五輪は、ソウルと韓国が新たな高みに到達するための跳躍台となるだろう。IOCが掲げる『持続可能な五輪』の成功モデルを提示できると確信している」と力強く語っています。
ソウル市は、環境への配慮や経済効果を最大限に高めることで、持続可能なオリンピックの実現を目指しています。市民の熱意と市の積極的な取り組みによって、2036年のソウル五輪誘致は、大きく前進しています。
