トランプ氏、ノーベル平和賞への夢再び?支持者が推薦論

ドナルド・トランプ前米大統領の支持者らの間で、彼にノーベル平和賞を授与すべきだとの主張が再び高まっている。これは、最近報じられたイスラエルとイランの暫定的な停戦に向けた合意の可能性などが背景にあるとされる重要な動きだ。トランプ氏自身もこの権威ある賞を長年にわたり強く望んでおり、自身の功績を強調して支持者の声に同調する姿勢を見せている。

ノーベル平和賞獲得への期待が再び高まるドナルド・トランプ氏ノーベル平和賞獲得への期待が再び高まるドナルド・トランプ氏

最近の動きと支持者の声

共和党のバディー・カーター下院議員(ジョージア州選出)は6月24日、「世界最大のテロ支援国家が地球上で最も致命的な兵器を手に入れるのを阻止した」功績として、トランプ氏をノーベル平和賞に推薦した。これは、先週末に米軍が実施したイランの核施設3カ所への空爆を指すとみられるが、この攻撃がもたらす長期的影響はなお不透明だ。

トランプ氏本人も同日、右派のポッドキャスター、チャーリー・カークによる「トランプ大統領はノーベル平和賞を受賞すべきだ」というX(旧ツイッター)への投稿を、自身のSNSプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」で共有した。

トランプ氏の長男であるドナルド・トランプ・ジュニア氏は、バラク・オバマ元米大統領が2009年に核不拡散推進などの功績で同賞を受賞したことに言及し、もし父親が受賞を逃せば、オバマ氏の受賞は「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」だったと言えると主張した。

また、米国のイランへの介入を最も強硬に主張する一人である共和党のリンゼー・グラム上院議員(サウスカロライナ州選出)は、CNNテレビに対し、「もしわれわれがイランの行動を変えることができるのであれば、トランプ大統領は格別なノーベル平和賞を授けられるに値する」と語った。

ノーベル平和賞へのトランプ氏の執着と過去の主張

トランプ氏がノーベル平和賞を強く望んでいることは周知の事実であり、米紙ニューヨーク・タイムズによれば、これまでに何十回も公の場でこの話題に触れている。つい先週も、どうせ自分はもらえないだろうという不満を漏らしていた。

6月20日には記者団に対し、「私は(ノーベル平和賞を)4回か5回もらっていてもおかしくない。(中略)でも彼らはリベラル派にしか与えないんだ」と述べた。過去にノーベル平和賞を受賞した4人の米大統領のうち、3人は民主党員だった。

トランプ氏は自身がノーベル平和賞にふさわしい根拠として、自身が仲介したとするいくつかの国家間合意を引き合いに出している。2020年にイスラエルと一部のアラブ諸国との間で結ばれた「アブラハム合意」は、彼の大統領1期目に米国が交渉を後押しした代表例だ。

彼はまた、2020年5月にインドとパキスタン間の危機を終結させた合意も自身の手柄だと主張しているが、インドのナレンドラ・モディ首相はトランプ氏の関与を否定している。

さらにトランプ氏は、トゥルース・ソーシャルへの6月20日の投稿で、コンゴ民主共和国とルワンダの和平協定も仲介したと主張し、「私が何をしてもノーベル平和賞はもらえそうにない」と改めて不満を述べている。

ノーベル平和賞推薦の動向と背景

トランプ氏を推薦したカーター下院議員は上院選への出馬を表明しており、トランプ氏からの支持を得ることで当選の可能性を高めたい意図があるとみられる。これに先立つ動きとして、パキスタンもインドとの紛争沈静化への貢献を理由に、トランプ氏を2026年のノーベル平和賞に推薦している。

一方、昨年時点でトランプ氏をノーベル平和賞に推薦していたウクライナ最高会議(国会)議員のオレクサンドル・メレジュコ氏は今週、その推薦を取り下げた。英紙テレグラフによれば、当初の推薦はロシアとウクライナの和平協定仲介を促す狙いだったが、トランプ氏がロシア・ウクライナ戦争への関心を失い、中東問題に注力していると見られることから撤回に至ったという。

トランプ氏は過去にも、2018年、2020年、2021年のノーベル平和賞に推薦されている。その理由は、北朝鮮と韓国の和平合意に向けた仲介努力、セルビアとコソボの経済合意に向けた交渉で果たした役割などが挙げられる。

まとめ

ドナルド・トランプ氏へのノーベル平和賞授与を巡っては、最近のイラン関連の動きなどを理由に支持者からの推薦論が再び勢いを増している。本人の長年の強い願望は広く知られているものの、推薦が撤回される事例があるなど、その道のりは容易ではないことが示されている。米国の国内政治と国際外交が絡み合うこの話題は、今後も注目を集めるだろう。

参考資料

  • Source Article: Forbes Japan via Yahoo News Japan
  • Mentions: New York Times, CNN, The Telegraph