静岡県伊東市の田久保真紀市長は7月7日、自身の学歴詐称疑惑が指摘されている問題を受けて市長を辞職すると表明しました。さらに、数カ月以内に行われる見込みの次の市長選挙に再び立候補する意向も示しました。田久保氏は今年5月25日の市長選挙で初当選したばかりであり、今回の事態により伊東市では短期間で市長選挙がやり直される異例の展開となります。
疑惑の発端:匿名の手紙と公表された学歴
事の発端は、市議会議員全員に送られた匿名の告発文でした。田久保市長はこれまで自身の学歴を「東洋大学法学部卒業」と公表しており、伊東市の広報誌「広報いとう7月号」にも「平成4年 東洋大学法学部卒業」と記載されていました。しかし、市議会議員に届いた手紙には、「東洋大学卒というのは嘘だ。彼女は中退どころか、私は除籍であったと記憶している」「こんな嘘つきが市長に選ばれるなんて信じられない!」といった内容が記されており、議会による真実の追及を求めるものでした。これを受け、複数の市議から驚きや疑問の声が上がりました。
市長の説明変遷と除籍の判明
6月25日の市議会でこの学歴問題について問われた際、田久保市長は当初「弁護士に対応を任せている」「怪文書の要求を満たすと助長する」などと述べるにとどまり、明確な説明を避けました。また、市議会議長らには「必要な書類」として大学の「卒業証書」を見せたことも明らかにしていました。しかし、7月2日になり、田久保市長は記者会見を開き、自ら東洋大学に赴いて確認した結果、「卒業ではなく除籍であったことが判明した」と発表しました。確認するまで「卒業したという認識でいた」と釈明しています。
静岡県伊東市の田久保真紀市長が、学歴詐称疑惑に関する記者会見で辞職を表明する瞬間
選挙公報と他の経歴記載の食い違い
田久保市長は、選挙公報には大学卒業について記載していなかったため、「公職選挙法上は問題にならない」との見解を示しました。確かに、実際の伊東市長選挙の選挙公報を確認すると、大学卒業に関する記述は見当たりません。しかし、報道機関に提出した自身の経歴書には「東洋大学卒業」と明記していたことが確認されています。これは大学を卒業したか否かという事実そのものに加え、情報公開における一貫性が問われる点でもありました。
情報混乱と全国的な注目
単に大学を卒業したかどうかの事実確認であるにも関わらず、田久保市長の説明が当初あいまいだったことや、後に内容が変遷したことなどから、市議会やメディアによる追及が続きました。この問題は次第にテレビのワイドショーなどでも取り上げられるようになり、伊東市のローカルニュースだったものが、全国的に注目される政治・社会問題へと発展していきました。情報の混乱と市長の説明責任に対する疑念が深まり、辞職を求める声が高まりました。
田久保市長は、自身の学歴に関する不正確な情報が問題視されたことを受けて辞職を表明しましたが、同時に改めて市民の信を問いたいとして次期市長選への立候補を表明しました。これにより、伊東市では当選からわずか約1ヶ月半で市長が不在となり、異例の速さで再び市長選挙が実施されることになります。今後の選挙戦の行方と、市民の判断が注目されます。