イーロン・マスク氏がX(旧Twitter)を通して欧州政治、特にドイツの選挙に介入しているとして、欧州各国の首脳から批判の声が上がっています。彼の発言は、ドイツの政治情勢にどのような影響を与えるのでしょうか?
マスク氏の政治介入:欧州各国首脳の反応
マスク氏は、ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持を表明し、オラフ・ショルツ首相を「無能なばか」と呼び辞任を求めるなど、過激な発言を繰り返しています。この行動に対し、フランスのマクロン大統領は「世界最大級のSNSオーナーが選挙に介入するとは、10年前には誰が想像しただろうか」と述べ、懸念を示しました。ノルウェーやスペインの首脳も、マスク氏の他国内政への介入に憂慮する姿勢を示しています。
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イギリスのスターマー首相も、マスク氏を名指しこそしませんでしたが、フェイクニュース拡散に加担する人物への批判を展開しました。これは、マスク氏がイギリスで過去に起きた児童性的搾取事件に関して、スターマー首相らを攻撃する投稿を繰り返していたことを受けての発言と見られています。
イタリアとハンガリー:マスク氏への好意的姿勢
一方、イタリアのメローニ首相はマスク氏と親密な関係を築いており、「天才」「並外れた革新者」と称賛しています。ハンガリーのオルバン首相も、反ジョージ・ソロスという点でマスク氏と共通の立場をとっています。両者は先日、トランプ前大統領の私邸で会談を行ったと報じられています。
ドイツ選挙への影響:AfD躍進の可能性
最も懸念されているのは、来月に連邦選挙を控えるドイツへの影響です。マスク氏はAfDへの支持を公言し、同党を「ドイツの最後の希望の火花」と表現しました。
ドイツ国内の反応:各党首の批判
ショルツ首相は冷静な姿勢を保っていますが、緑の党のハーベック党首は「私たちの民主主義に手を出すな」とマスク氏を強く批判。自由民主党のリントナー党首は、マスク氏の行動はアメリカの利益のためにドイツを弱体化させる意図がある可能性を指摘しています。
イタリアでのビジネス展開:スペースXとの大型契約交渉
マスク氏はドイツ政治への介入を強める一方で、イタリアではビジネス利益の拡大を図っています。報道によると、彼の宇宙企業スペースXはイタリア政府と16億ドル規模のスターリンク衛星供給契約を交渉中とのことです。
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マスク氏は「イタリアに最も安全で先進的な接続を提供する用意がある」と発言しましたが、契約締結については明言を避けています。イタリアの野党からは、マスク氏の政治介入を懸念する声も上がっており、契約の行方が注目されます。
マスク氏の欧州戦略:今後の展望
マスク氏の欧州政治への介入は、単なる個人的な意見表明ではなく、ビジネス戦略と絡み合った複雑な動きである可能性があります。今後の彼の行動、そして欧州各国の対応に注目が集まります。