ポルシェがバンコクに超高級マンションを建設:日本の富裕層も注目

タイの首都バンコクに、ドイツの高級車メーカー「ポルシェ」が手掛ける超高級マンション「ポルシェ・デザイン・タワー・バンコク」が建設中であり、その最高価格は約77億円に上ると報じられています。この「ブランデッドレジデンス」と呼ばれる新たな形態の不動産は、世界中の富裕層、特に日本の富裕層からも熱い視線を集めています。バンコクの富裕層が集まるトンロー地区に建設されるこのタワーは、単なる住居を超え、ポルシェブランドのライフスタイルを提供するものとして期待されています。

「ポルシェ・デザイン・タワー・バンコク」の全貌

バンコクのトンロー地区は、「バンコクの青山」とも称され、スクンビット通りは東京の洗練された青山通りを彷彿とさせる、富裕層が集うエリアとして知られています。この一角に、2028年の竣工を目指して「ポルシェ・デザイン・タワー・バンコク」が建設されています。名称が示す通り、ドイツのポルシェの関連会社であるポルシェ・デザイン社が意匠を担当。エントランスやビルの頂上部分には、電動スポーツカー「ミッションR」を思わせるモチーフが採用されており、まさに「建っているポルシェ」と呼べるような、革新的なデザインが特徴です。

この超高級マンションは、わずか22戸からなり、専有面積は525平方メートルから1135平方メートルという広大なスペースを誇ります。価格は最低約23億円から始まり、最も高額な部屋は約77億円に達します。このような破格の価格設定にもかかわらず、バンコクでの建設が決定された際には、不動産業界内外で大きな注目と期待が寄せられました。

建設中のポルシェ・デザイン・タワー・バンコクの外観イメージ建設中のポルシェ・デザイン・タワー・バンコクの外観イメージ

なぜバンコク、そして日本での販売状況

ポルシェが手掛けるブランデッドレジデンスは、アメリカのマイアミやドイツのシュトゥットガルトにも存在しますが、3棟目となる今回は東京ではなくバンコクに建設されることが決定しました。その背景には、ハイクラスのマンションがタイの方が売りやすいという現状があります。不動産会社の幹部によると、金融資産を10億ドル以上保有する超富裕層の数は、タイが日本よりも多いとも言われているためです。

実は、このポルシェマンションは日本国内でも販売されています。今年6月には、東新橋の「ポルシェスタジオ銀座」でお披露目イベントが開催されました。日本で販売権を持つリストインターナショナルリアルティの担当者によれば、22戸のうち現時点で5戸が成約に至っており、その中には日本人顧客も含まれているとのことです。日本ではまだ珍しい「ブランデッドレジデンス」という言葉は、ポルシェのような高級ブランドが名を冠するマンションを指し、麻布台ヒルズに位置するアマンレジデンス東京などもその一例です。

高級ブランドマンションの未来と富裕層戦略

住宅評論家の櫻井幸雄氏は、ブランデッドレジデンスの成功の鍵として、高級ブランドが既存の顧客リストを活用している点を指摘しています。つまり、一般への告知をせずとも、特定の上得意客に限定して案内状を送ることで、確実に富裕層のニーズを捉えているのです。櫻井氏は「タイが建設地ではありますが、ブランデッドレジデンスは富裕層をくすぐるようにできており、これからも増えてゆくでしょう」と述べています。

ポルシェのような自動車ブランドだけでなく、今後はイタリアの高級ファッションブランドや宝石ブランドなど、多様な分野の高級ブランドがマンション事業に参入する時代が到来する可能性も示唆されています。これは、単に住居を提供するだけでなく、ブランドが持つ世界観やライフスタイルそのものを販売するという、新たなビジネスモデルの潮流と言えるでしょう。

まとめ

ポルシェがバンコクで手掛ける「ポルシェ・デザイン・タワー・バンコク」は、最高約77億円という価格帯で、世界の富裕層をターゲットにしたブランデッドレジデンスの象徴です。タイの富裕層人口の多さを背景にバンコクが選ばれましたが、日本でも既に複数の成約があることからも、その注目度の高さが伺えます。高級ブランドが既存顧客へのアプローチを通じて展開するブランデッドレジデンスは、今後も拡大が予想される富裕層市場における新たなトレンドとして、引き続き注目を集めることでしょう。

Source link: https://news.yahoo.co.jp/articles/fe094faf567d00bd931cbe81d8fd8102dc28e81d