日本の医学部入試には、面接が必須となっています。なぜ、筆記試験だけでは判断できないのでしょうか? この疑問に、精神科医の和田秀樹氏は著書『ヤバい医者のつくられ方』(扶桑社新書)で鋭く切り込んでいます。和田氏は、数十分の面接で医師としての適性を見極めるのは不可能であり、真の目的は教授陣にとって都合の悪い「異分子」を排除することにあるのではないかと指摘しています。本記事では、医学部面接の在り方について、和田氏の視点を中心に深く掘り下げていきます。
医師への夢を砕く面接の残酷さ
医学部入試は狭き門であり、受験生は多大な努力を費やします。もし不合格となった場合、学力不足であれば再挑戦のモチベーションにつながるかもしれません。しかし、学力は十分なのに面接で落とされた場合、人格を否定されたような深い傷を負うことになります。長年の夢を絶たれ、将来への希望を失ってしまう可能性さえあります。このような事態を招く面接は、果たして本当に必要なのでしょうか?
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短時間での適性判断は可能なのか?
面接時間は長くても30分から1時間程度。これだけの時間で受験生の何を見抜けるというのでしょうか。精神科医として長年患者と向き合ってきた和田氏は、人の性格や考え方を理解するには、時間をかけて何度も対話する必要があると述べています。初対面の患者を5分で理解できると思い込んでいる医師がいるとすれば、それは妄想と言えるかもしれません。面接官である教授陣は、自分たちに特別な能力があると過信しているのではないでしょうか。
面接官の真の意図とは?
和田氏は、面接の真の目的は、教授陣の地位やメンツを脅かす可能性のある人物、つまり「異分子」を排除することにあるのではないかと推測しています。既存の体制に疑問を抱いたり、変化を求めるような学生は、教授陣にとって扱いづらい存在とみなされるかもしれません。 医学界の閉鎖性を維持するために、面接という手段を用いて異分子を排除している可能性は否定できないでしょう。
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医学部入試の未来
医学部入試における面接の在り方は、再考の余地があると言えるでしょう。真に医師としての適性を見極めるための方法、そして受験生の人権を尊重した選抜方法の確立が求められています。 医学界の未来を担う人材育成のためにも、開かれた議論が必要不可欠です。