最新医療ロボット「ダ・ヴィンチ」で膀胱全摘手術体験記:ステージ4のがんと闘う

この記事では、ステージ4の膀胱がんと診断され、最新医療ロボット「ダ・ヴィンチ」を用いた膀胱全摘手術を受けたジャーナリストの体験記をお届けします。ダ・ヴィンチ手術のメリット・デメリット、手術前後の様子、そしてがんとの闘いにおける心境の変化など、リアルな体験を通じて、読者の皆様に最新医療技術とがん治療への理解を深めていただくことを目的としています。

がん宣告、そしてダ・ヴィンチ手術へ

2024年春、65歳の私、ジャーナリストの山田稔は、ステージ4の膀胱がんと診断されました。肺への転移も確認され、まさに青天の霹靂でした。医師からの説明を冷静に受け止め、がんとの共存を決意。抗がん剤治療を経て、10月には膀胱全摘手術を受けることになりました。手術方法は、最新医療ロボット「ダ・ヴィンチ」を用いた「ロボット支援腹腔鏡下緩和膀胱摘除術」です。

2021年ポーランド・ワルシャワで実施されたダ・ヴィンチ手術の様子2021年ポーランド・ワルシャワで実施されたダ・ヴィンチ手術の様子

実は手術当日、10月27日は衆議院議員選挙の投票日でした。国民の義務を果たすべく、早朝に投票を済ませてから病院へ向かったのを覚えています。病室で看護師から手術に関する説明を受け、いよいよ現実が迫ってきたことを実感しました。

ダ・ヴィンチ手術とは?そのメリットとデメリット

ダ・ヴィンチ手術は、2012年4月から保険適用となり、特に泌尿器科での手術件数が多い、近年注目されている低侵襲手術です。従来の開腹手術に比べて、出血量が少ない、術後の痛みが軽減される、早期の社会復帰が可能といったメリットがあります。

開腹手術、腹腔鏡手術との比較

従来の開腹手術は、出血量が多く輸血が必要となる場合や、手術時間が長時間に及ぶ、傷口が大きく術後の痛みが強い、回復に時間がかかるといった課題がありました。その後、これらの課題を克服するために腹腔鏡手術が登場しました。しかし、高度な技術が求められるため、膀胱全摘手術に腹腔鏡手術を採用している病院は限られていました。

そこに登場したのが、革新的なダ・ヴィンチ手術です。腹腔鏡手術のメリットをさらに進化させ、より繊細で正確な手術を可能にしました。例えば、3Dハイビジョンカメラによる鮮明な術野の映像、人間の手首の動きを再現したロボットアームなど、高度な技術が搭載されています。

ダ・ヴィンチ手術のデメリット

一方で、ダ・ヴィンチ手術にもデメリットは存在します。例えば、手術費用が高額であること、ロボットの操作に熟練した医師が必要であること、触覚がないため医師の経験と勘が重要になることなどが挙げられます。

手術直前の筆者の様子手術直前の筆者の様子

4時間の手術、そして術後の経過

私の手術は4時間にも及びました。術後の経過は良好で、医師からは「手術は成功しました」との言葉をもらいました。もちろん、術後の痛みや違和感、排尿に関する変化など、様々な困難もありましたが、医療スタッフのサポートと家族の励ましのおかげで、徐々に回復していくことができました。

著名な泌尿器科医である佐藤先生(仮名)は、「ダ・ヴィンチ手術は、患者さんの負担を軽減しながら、より精度の高い手術を可能にする画期的な技術です。今後の更なる発展に期待しています」と述べています。

がんと向き合うということ

がんと診断された当初は、不安や恐怖で押しつぶされそうになりました。しかし、家族や医療スタッフ、そして同じ病と闘う仲間たちとの出会いを通じて、前向きに生きる勇気を得ることができました。

この体験を通して、人生の価値観が大きく変わりました。当たり前の日常の大切さ、人との繋がりの温かさ、そして何よりも、自分自身の命の尊さを改めて実感しました。

今後の展望

今後は、定期的な検査を受けながら、再発防止に努めていきます。そして、自分の経験を活かし、がん患者やその家族の支援活動にも積極的に関わっていきたいと考えています。

この体験記が、がんと闘う方々、そしてそのご家族の希望の光となることを願っています。そして、読者の皆様には、健康の大切さを改めて認識し、定期的な健康診断の受診を心がけていただきたいと思います。