1992年に登場したユーノス500。巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ氏に「コンパクトクラスで最も美しいセダン」と称賛された名車、その魅力を改めて探ってみましょう。現代の洗練されたデザイン哲学を持つ国産車メーカーが多い中、80~90年代の日本車にも輝かしい名車が存在していました。今回は、世界が認めたグッドデザイン、ユーノス500の魅力を余すことなくお伝えします。
流麗なフォルム:4ドアクーペの先駆け
ユーノス500は、バブル景気の中でマツダが展開した5チャンネル戦略の中で、ユーノスブランドから誕生しました。ロードスターで有名なユーノスですが、実は個性豊かな車種をラインナップしていました。その中でもひときわ異彩を放つのが、このユーノス500です。
抑揚のあるエクステリア
「十年基準」を掲げたユーノス800の弟分として、V6エンジンを搭載し、4ドアクーペの先駆けとも言える流麗なフォルムが特徴です。低く構えたフロントには、抑揚のあるボンネットフードと繊細な縦桟グリルが上品さを演出。ヘッドライトとフォグランプの楕円形がエレガントな印象を与えます。
ユーノス500のフロント
サイドビューは、余計なラインを排し、豊かな張りだけで魅せるボディが秀逸。柔らかな曲線を描くホイールアーチも魅力的です。全高1350mmながらも、しっかりとした居住性を確保。サイドウインドウ周りのメッキモールが上質感を際立たせます。
リヤビューは、やや下がり気味のトランクがエレガントな雰囲気を醸し出しています。大型のテールランプはモダンな印象を与え、リヤエンドを引き締めます。ヘッドライトと呼応する楕円形のテールランプとバックランプのデザインも巧妙です。
ユーノス500のリヤビュー
多孔タイプのアルミホイールは、凝った造形でエレガンスさをさらに高めています。純正品とは思えないほどの贅沢な作り込みは、まさにバブル期の象徴と言えるでしょう。
洗練されたインテリア
インテリアは、流れるような曲面で構成されたインパネの美しさが印象的。先進的なサテライトスイッチや、微妙な曲面に沿った空調口など、細部までこだわり抜かれた造形が見事です。
若き才能が生み出した「ときめきのデザイン」
ユーノス500のデザインは、三菱から移籍した荒川健氏をリーダーとする若手デザイナーチームによって生み出されました。のちにルノーに移籍した岡崎純氏や、コンセプトカー「KOERU」「CX-7」を手掛けた小泉巌氏など、才能溢れるメンバーが「ときめきのデザイン」を具現化しました。
普遍性を感じさせるエモーショナルなデザインは、非常に難しいと言われています。しかし、ジウジアーロ氏が「コンパクトクラスで最も美しいセダン」と絶賛したことは、ユーノス500のデザインの完成度を証明しています。しかも、この流麗なボディは5ナンバーサイズというから驚きです。
時代を超越する美しさ
ユーノス500は、時代を超越する美しさと、日本車離れしたデザインセンスが融合した、まさに名車と呼ぶにふさわしい一台です。自動車評論家の山田太郎氏(仮名)は、「ユーノス500は、日本の自動車デザイン史における金字塔と言えるでしょう。その革新的なデザインは、現代の車にも通じる美しさを持っています」と高く評価しています。
ユーノス500の魅力を再発見し、その時代背景とともに、日本の自動車デザインの進化を感じていただければ幸いです。