ドイツとオーストリアの60を超える大学や研究機関は10日、X(旧ツイッター)の利用を中止するとの共同声明を発表した。Xのプラットフォームとしての方向性が、大学が重視する科学的な公正性や民主的な議論などの基本的な価値観にそぐわないためだとしている。
声明では、アルゴリズムによる右派ポピュリスト的コンテンツの増幅や自由に届けられるコンテンツの制限といった「Xの変更」により、継続した利用が正当化できないものとなったと説明。「多様性、自由、科学を促進する価値観は、もはやこのプラットフォームには存在しない」として、今回の中止は「事実に基づくコミュニケーションと、反民主主義勢力への反対に深く関与していくことを強調するものだ」と述べている。
共同声明に加わったゲーテ大学フランクフルトは個別に出した発表文で、イーロン・マスク氏が旧ツイッターを買収して以降、「プラットフォームのアルゴリズムは、オーナーの世界観に沿ったコンテンツが好まれるように操作されている。Xは建設的な交流の場から偽情報に使われるツールへと変わった」と指摘した。
朝日新聞社