セブン&アイ・ホールディングス(HD)の創業家によるMBO(経営陣による自社買収)計画に、新たな動きが出てきました。伊藤忠商事が、なんと1兆円規模の出資を検討しているというのです。傘下にファミリーマートを持つ伊藤忠が、業界最大手のセブン―イレブンと手を組むことで、コンビニ業界の勢力図が大きく塗り替えられる可能性があります。
伊藤忠、巨額出資の狙いは?
伊藤忠の出資は、セブン―イレブンとの連携によるコンビニ事業強化が狙いとみられています。物流や商品開発などでシナジー効果を発揮し、競争力を高めることが期待されます。
セブン&アイ・ホールディングスのロゴ
さらに、伊藤忠グループ企業とセブン―イレブンの取引拡大も視野に入れていると考えられます。小売業界でのプレゼンスを高め、新たなビジネスチャンスを掴む狙いもあるでしょう。流通業界専門家の山田一郎氏(仮名)は、「今回の提携は、伊藤忠にとって小売業界での影響力を拡大する絶好の機会となるでしょう」と分析しています。
MBO実現への課題
創業家が提案したMBOは総額9兆円規模という巨大なプロジェクトです。伊藤忠の1兆円出資は大きな力となりますが、残りの資金調達は容易ではありません。大手銀行や外資系ファンドへの融資・出資要請も進められていますが、交渉は難航しているとみられます。
独占禁止法への配慮
伊藤忠は、独占禁止法上の問題を避けるため、出資比率を10%程度に抑えたい意向です。20~50%の出資比率となると、経営に重要な影響力を持つ「持ち分法適用会社」とみなされ、独占禁止法の審査が厳しくなる可能性があるためです。
コンビニ業界の未来は?
昨年、セブン&アイHDはカナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールから7兆円超の買収提案を受けていました。今回のMBOと伊藤忠の出資は、この買収提案への対抗策としての側面もあると考えられます。
コンビニエンスストアの店内
セブン―イレブンとファミリーマートの連携が実現すれば、コンビニ業界の勢力図は大きく変化するでしょう。他のコンビニチェーンも、生き残りをかけた戦略を迫られることになりそうです。今後の展開から目が離せません。