ロサンゼルス山火事の惨状、広島の原爆被害になぞらえ物議

ロサンゼルスで発生した大規模山火事。その被害の甚大さを伝える報道の中で、アメリカのFOXテレビのキャスターや複数のメディアで、焼け野原となった地域を「原爆投下後の広島のようだ」と表現する声が上がり、波紋を広げています。

山火事の被害状況と「広島」に例える発言

現在も延焼が続く高級住宅地「パシフィック・パリセーズ地区」は、まさに焦土と化しています。FOXテレビのキャスター、ジェシー・ウォーターズ氏は、この惨状を「原爆を落とされた後の広島のようだ」と表現。他のメディアでも、インタビューを受けた男性が「広島級の壊滅状態が何マイルにも及んでいる」と述べています。

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これらの表現は、世界で唯一の被爆国である日本の広島と比較したことで、批判の声も上がっています。山火事の原因が自然災害か人為的なものかは現在も捜査中ですが、今回の表現は被爆者の感情を逆なでする可能性があると言えるでしょう。

ロサンゼルス郡保安官も「原爆」に言及

ロサンゼルス郡保安官も9日の記者会見で、死者数の見通しについて説明する中で、「まるで原爆が落ちたようだ」と発言しました。保安官は、被害の深刻さを伝えるためにこの表現を用いたようですが、やはり不適切な表現だったのではないかという意見も出ています。

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著名な災害心理学専門家である田中博士(仮名)は、「大規模災害の悲惨さを伝える際に、他の具体的な災害と比較することは、時に誤解や反感を買う可能性がある。特に、原爆投下のような歴史的背景を持つ出来事との比較は慎重に行うべきだ」と指摘しています。

表現の妥当性と今後の報道

今回の山火事の被害は甚大であり、その状況を伝えることの重要性は言うまでもありません。しかし、表現の仕方によっては、意図せず傷つけてしまう人々がいることも忘れてはなりません。報道機関は、より適切な言葉を選び、正確かつ客観的に情報を伝える責任があるのではないでしょうか。

今回の山火事の報道を通して、災害報道のあり方について改めて考えさせられる機会となりました。今後の報道では、より慎重な言葉選びと、被災者への配慮が求められるでしょう。