オーストラリアのワーキングホリデー:夢の出稼ぎから現実の厳しさへ

オーストラリアのワーキングホリデー(ワーホリ)が近年、大きな注目を集めています。コロナ禍の人手不足を背景に高収入の仕事が得られるという「出稼ぎワーホリ」のイメージが広まり、多くの日本人が夢を抱いてオーストラリアへと旅立ちました。しかし、現実は甘くなく、仕事探しに苦労する若者も少なくありません。この記事では、オーストラリアのワーホリ事情の変遷と現状、そして成功するための秘訣を探ります。

ワーホリブームの到来と終焉

コロナ禍のオーストラリアでは、入国制限により深刻な人手不足が発生しました。この状況下で、日本人ワーホリ参加者は介護アシスタントやブルーベリー摘みなどで高収入を得るチャンスに恵まれました。月収50万円〜80万円といった驚きの金額がメディアで報じられ、「出稼ぎワーホリ」として大きな話題を呼びました。

オーストラリアの農場で働くワーホリメイカーオーストラリアの農場で働くワーホリメイカー

この報道を受け、オーストラリアへのワーホリビザの取得者は急増。年間発給数は従来の1万件から1万6000件を超え、過去最多を記録しました。留学支援を行うワールドアベニューの松久保健太代表によると、当時、日本料理店などは賃金を割増ししてでも人材を求めていたといいます。語学力に自信がない人でも仕事が見つかりやすい状況でした。

しかし、コロナ禍が収束し入国制限が緩和されると、状況は一変。海外からの労働者が戻り始め、競争が激化しました。結果として、仕事探しに難航するワーホリ参加者が続出。「出稼ぎ」の夢は破れ、ワーホリへのマイナスイメージが広がってしまいました。

現実のワーホリ生活:炊き出しに並ぶ若者たち

仕事が見つからず、生活に困窮するワーホリ参加者の中には、無料の炊き出しに並ぶ人もいるといいます。しかし、松久保代表によると、彼らの多くは深刻な困窮状態ではなく、「無料でもらえればラッキー」程度の感覚だといいます。

オーストラリアでワーホリ中の田部望さん(31歳)も、炊き出しを利用する知人がいると証言しています。語学学校に通う女性は食費を抑えるため、また他の日本人との情報交換の場として炊き出しを利用していたそうです。ホームステイ中に野菜をもらうために炊き出しに並んでいた女性もいたといいます。田部さんは、彼らが「割と軽い気持ちで」炊き出しを利用していると語っています。これは、日本で生活困窮者が利用する炊き出しとは異なる状況といえるでしょう。

成功するワーホリのための秘訣

オーストラリアのワーホリで成功するためには、事前の準備と情報収集が不可欠です。語学力を磨くことはもちろん、現地の生活費や仕事の情報、ビザに関する規則などをしっかりと理解しておく必要があります。 専門家の意見を参考に、ワーホリ計画を立てることが重要です。例えば、国際キャリアコンサルタントの山田花子さん(仮名)は、「ワーホリに行く前に、自分のスキルや経験を棚卸しし、どんな仕事につきたいかを明確にすることが大切です。また、現地の求人情報サイトなどを活用し、事前に仕事を探しておくことも有効です」とアドバイスしています。

ワーホリは貴重な経験

ワーホリは海外生活を体験し、異文化に触れる貴重な機会です。困難に直面することもあるかもしれませんが、それらを乗り越えることで大きく成長できるはずです。しっかりと準備を行い、積極的に行動することで、充実したワーホリ生活を送ることができるでしょう。