不登校を経験した子どもを持つ親にとって、子どもの成長は喜びであり、同時に自身の葛藤と向き合う複雑な道のりでもあります。今回は、娘の不登校を乗り越え、高校卒業、専門学校進学という大きな節目を迎えた昭子さん(仮名、55歳)の物語を通して、不登校問題の深層、そして親が抱える苦悩について探っていきます。
5年間の不登校:娘の成長と母の苦悩
昭子さんの娘さんは中学1年生の2学期から不登校になり、高校卒業までほとんど学校に通えませんでした。しかし、高校受験に合格し、精神的な波はありながらも高校生活をスタート。アルバイトも始め、今では専門学校への進学も決まり、着実に前へ進んでいます。
娘さんの成長は喜ばしいことですが、昭子さん自身は「自分を軽蔑している」と語るほど、深い苦悩を抱えています。一体何が昭子さんを苦しめているのでしょうか?
高校生の娘を持つ昭子さん
複雑な幼少期:離婚、孤独、そして大人への不信感
昭子さんの苦悩の根源は、自身の複雑な幼少期にあるようです。5歳の時に両親が離婚し、父親に引き取られて祖父母に育てられました。物質的には不自由なく育ったものの、常に孤独を感じていたといいます。
「自分だけの人がほしい、たとえば赤ちゃんでもいいから」と、幼い昭子さんは思っていました。周りの大人にも幻滅を感じることが多く、父親は仕事もせず祖父母の金で生活し、祖母は人の悪口をよく言っていました。幼い昭子さんは、大人たちの表と裏の顔を見て育ち、人間不信感を抱くようになったのです。
不登校コンサルタントの視点:親自身の心のケアの重要性
著名な不登校コンサルタント、田中先生(仮名)は、「不登校の子どもを持つ親は、子どもだけでなく、自分自身の心のケアも大切です。過去のトラウマや葛藤と向き合うことで、子どもとの関係もより良いものになるでしょう」と述べています。
昭子さんのように、子どもが不登校になったことをきっかけに、自身の過去と向き合う親は少なくありません。不登校は、親子ともに成長する機会となる可能性を秘めていると言えるでしょう。
親の自己肯定感が子どもに与える影響
親の自己肯定感が低いと、子どもにも悪影響を与える可能性があります。子どもは親の言動を敏感に察知するため、親が自分を否定していると、子どもも自信を失ってしまう可能性があります。「子育てハッピーアドバイス」の著者、佐藤先生(仮名)は、「親が自分を大切にすることが、子どもの自己肯定感を育む第一歩」と指摘しています。
これから:未来への希望
昭子さんは、娘さんの成長を喜びながらも、自身の過去と向き合い、葛藤しています。しかし、娘さんの進学を機に、自分自身も変わろうと決意しています。
不登校は、子どもだけでなく、家族全体の問題です。親が自分自身と向き合い、心のケアをすることで、子どもも安心して未来へ進んでいけるのではないでしょうか。
まとめ:不登校からの克服と親の成長
今回の物語を通して、不登校という困難を乗り越え成長していく子どもと、それと同時に自身の葛藤と向き合う親の姿が浮かび上がりました。不登校は決して終わりではなく、新たなスタート地点と言えるのかもしれません。 親が自分自身を大切にし、子どもと共に成長していくことが、明るい未来への道しるべとなるでしょう。