NATO加盟国、国防費GDP比最大3.7%必要か?軍事力目標達成への課題

NATO(北大西洋条約機構)の軍事力強化に向けた議論が活発化しています。ストルテンベルグ事務総長は、加盟各国がGDPの最大3.7%を国防費に充てる必要性を示唆しました。これは、現状の目標である2%を大きく上回る数字です。一体、何がNATOの軍事費増額を促しているのでしょうか?そして、各国の対応は?この記事では、NATOをめぐる国防費問題の現状と課題を分かりやすく解説します。

NATO事務総長、国防費GDP比3.7%への引き上げ示唆

ストルテンベルグNATO事務総長は、加盟国に対し、GDP比で最大3.7%もの国防費負担が必要になる可能性を示唆しました。現在のNATO加盟国の目標はGDPの2%ですが、新たな軍事力目標を達成するためには、この水準では不十分であると強調しています。

NATO事務総長ストルテンベルグ氏(2025年撮影)NATO事務総長ストルテンベルグ氏(2025年撮影)

欧州議会での発言によると、事務総長は、ロシアのウクライナ侵攻など、変化する安全保障環境を踏まえ、NATOの軍事力強化は喫緊の課題であると訴えました。防衛専門家の田中一郎氏(仮名)は、「地政学的なリスクの高まりが、NATOの軍事費増額圧力につながっている」と分析しています。

技術革新と共同調達で負担軽減の可能性も

一方で、事務総長は、技術革新や兵器・装備の共同購入によって、必要な国防費負担を軽減できる可能性にも言及しました。具体的には、AIを活用した防衛システムの導入や、加盟国間での共同調達によるコスト削減などが挙げられています。これらの取り組みを通じて、3.7%という高い水準ではなく、3.6%程度に抑えられる可能性もあるとのことです。

各国の反応と今後の課題

米国では、過去にトランプ前大統領がNATO加盟国に対し、GDP比5%の国防費負担を求めた経緯があります。しかし、多くの加盟国にとって、この水準は現実的ではありません。今回の事務総長の発言も、加盟各国に新たな負担増を求める内容であり、各国の反応が注目されます。

NATO加盟国の国防費支出の推移NATO加盟国の国防費支出の推移

今後の課題は、いかにして加盟国の負担を軽減しつつ、NATO全体の軍事力を強化していくかです。技術革新や共同調達による効率化に加え、サイバーセキュリティ対策など、新たな分野への投資も重要となるでしょう。

まとめ:NATOの未来に向けた挑戦

NATOは、新たな安全保障環境に適応するために、軍事力強化という大きな課題に直面しています。国防費の増額は避けられない状況ですが、同時に、加盟国の負担軽減策も模索していく必要があります。技術革新や国際協力を通じて、NATOは、より強固で持続可能な安全保障体制を構築していくことが求められています。