神奈川中央交通(神奈中バス)が8路線の運行終了を決定しました。利用者数の減少や路線の重複など、様々な要因が絡み合う現状を紐解き、地域住民への影響を探ります。
運行終了路線の概要と背景
神奈中バスは2024年5月末、神奈川県生活交通確保対策地域協議会に8路線の退出(休止・廃止)の意向を申し出ました。これらの路線は1日1便程度の運行で、利用者数の低迷が続いていました。
2024年12月中の運行終了を予定していた神奈中バスの「厚94」
背景には、近年のモータリゼーションの進展や人口減少、コロナ禍による生活様式の変化など、バス業界全体を取り巻く厳しい経営環境があります。交通アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「地方路線の維持は、採算性の確保が非常に難しい。神奈中バスの今回の決断は、苦渋の選択だったと言えるでしょう」と指摘します。
平塚・厚木・町田エリアの路線
平塚駅と本厚木駅を結ぶ「平54」は、独特の迂回ルートが特徴でしたが、2024年12月14日に運行を終了しました。最終日には多くの鉄道ファンが詰めかけ、惜しむ声が聞かれました。
厚木バスセンターと宮の里を結ぶ「厚94」は、荻野運動公園へのアクセス路線としての役割を担っていましたが、利用者数は伸び悩んでいました。2025年に運行終了予定ですが、荻野運動公園への直行便はイベント開催時などに運行される予定です。
2025年3月末で運行終了予定の「町82」。小田急線・JR横浜線の町田駅と東急田園都市線のつきみ野駅とを結ぶ
町田エリアでは、青葉台駅と町田バスセンターを結ぶ「町73」、町田駅とつきみ野駅を結ぶ「町82」が運行終了予定です。これらの路線は、他の路線との重複区間が多く、効率的な運行が難しかったと考えられます。
その他の路線と今後の課題
長津田駅と市が尾駅を結ぶ「市02」、相模原駅と聖蹟桜ヶ丘駅を結ぶ「桜84」、南町田グランベリーパークと若葉台中央を結ぶ「南01」、淵野辺駅と登戸駅を結ぶ「淵24」も運行終了の対象となっています。
これらの路線の終了は、地域住民の生活に少なからず影響を与えることが懸念されます。特に高齢者や交通弱者にとっては、バス路線の減少は移動手段の選択肢を狭めることになります。
今後、神奈中バスは地域住民のニーズを的確に捉え、路線網の再編や代替交通手段の確保など、持続可能な公共交通サービスの提供に向けて取り組む必要があります。地域住民との対話や協働も不可欠となるでしょう。