日本の自動車業界で、発売前は疑問視されながらも、予想外の大ヒットを記録した車種は数多く存在します。今回は、その中でも特に印象的なホンダ オデッセイの成功物語に迫ります。
ミニバンブームの火付け役：初代ホンダ オデッセイ
1990年代、RVブームが到来し、ミニバンやステーションワゴンの人気が高まる中、ホンダは苦境に立たされていました。セダンやクーペ以外の車種展開が乏しく、RVブームに乗り遅れていたのです。そんな中、社運を賭けて1994年に発売されたのが初代オデッセイでした。
開発秘話：アコードをベースにした革新
開発期間とコストを抑えるため、オデッセイはアコードのプラットフォームをベースに開発されました。当時のミニバンといえば、背が高くスライドドアを備えたキャブオーバースタイルが主流でしたが、オデッセイは低ルーフのミニバンという異色のスタイルで登場。多くの人から「売れるのか？」と疑問視されました。
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予想外のヒット：広々空間と走りの良さ
しかし、蓋を開けてみれば、オデッセイは予想を上回る大ヒットを記録。FFレイアウトによる低床化で実現した広々とした室内空間、2列目キャプテンシートを採用した6人乗り仕様など、使い勝手の良さがファミリー層を中心に高く評価されました。
さらに、セダンベースの4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションによる優れた走行性能も、スポーティな印象を与え、ホンダのスポーツモデルからの乗り換え需要にも応えました。自動車評論家の山田太郎氏（仮名）は、「オデッセイは、ミニバンの概念を変えた革新的な車だ。広々とした空間と走りの良さを両立させたことで、新たな市場を切り開いた」と評価しています。
数々の受賞：日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞など
発売当初の月販目標台数は4000台と控えめでしたが、1994年には日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞、1995年にはRJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、高い評価を獲得。ミニバンブームの火付け役となり、1999年まで続くロングセラーとなりました。
ホンダの救世主：低迷期からの脱却
最終的な新車登録台数は43万台以上を記録し、低迷していたホンダの経営を立て直す救世主となりました。オデッセイの成功は、革新的な発想とユーザーニーズを的確に捉えた商品開発の賜物と言えるでしょう。
