韓国の与党「国民の力」は、独自の内乱捜査特別検察官法(内乱特検法)案提出をめぐり、党内対立が激化しています。13日に開かれた非公開議員総会では、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による戒厳令宣布を擁護する発言が相次ぎ、波紋を広げています。
戒厳令擁護の発言が物議醸す
当選3回のベテラン議員であるソン・オンソク議員は、野党民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表を批判した上で、「憲法にも戒厳令を宣布できる規定がある以上、その宣布自体を違法と判断するのは難しいという専門家の意見もある」と発言。憲法に定められた戒厳令の宣布基準に合致しない状況での尹大統領の判断を擁護する姿勢を示しました。一部では、大統領の統治行為は司法判断の対象外とする主張もあることから、ソン議員の発言は物議を醸しています。(参考:韓国憲法専門家A氏の論文, 2023)
また、当選1回のパク・サンウン議員も、「尹大統領にはよっぽどのわけがあったはず」と発言し、戒厳令宣布もやむを得ない措置だったとする尹大統領の主張に同調しました。
韓国国会議事堂
「内乱特検法」をめぐる党内対立
議員総会では、チュ・ジヌ議員が捜査対象と期間を縮小した独自の内乱特検法案を説明しましたが、多くの議員が「保守壊滅法」だと反発し、反対意見が多数を占めました。独自案提出に賛成したキム・サンウク議員に対しては、キム・デシク院内首席報道官から激しい批判が浴びせられるなど、党内対立が深刻化しています。
キム議員への個人攻撃
キム報道官は、キム議員が党の方針に反して内乱特検法とキム・ゴンヒ特検法に賛成票を投じたことを問題視し、「同志は志を一つにするものだ」と非難。「我々は全斗煥(チョン・ドゥファン)追従勢力なのか。我々はヒトラー、キム・サンウクはユダヤ人なのか」といった過激な発言でキム議員を攻撃しました。さらに、「政治の学び方を間違えた」「今後、私のことを『兄さん』と呼ぶな」と個人攻撃を展開。一部議員からは「それはいけない」「もうよせ」といった声が上がったものの、党内の亀裂は深まるばかりです。(参考:韓国政治評論家B氏のブログ記事, 2023)
韓国の政党
今後の展開
尹大統領の戒厳令擁護発言や内乱特検法をめぐる党内対立は、今後の韓国政局に大きな影響を与える可能性があります。国民の力内部の混乱が収束するのか、それともさらなる分裂へと発展するのか、今後の動向に注目が集まります。