逆境に打ち勝つ強さ…でも、限界はある。「レジリエンス・ファティーグ」を知っていますか?

夫の死、シングルマザー、そして予期せぬ妊娠。人生における試練を乗り越え、強く生きなければならないと自分に言い聞かせ続けてきた筆者。しかし、ある日限界が訪れました。心身ともに疲弊し、日常生活を送ることすら困難になった筆者が抱えていたのは、「レジリエンス・ファティーグ」と呼ばれる状態でした。この記事では、レジリエンスの限界と、その先に待ち受ける「レジリエンス・ファティーグ」について、筆者の実体験を通して詳しく解説します。

突然の死、そして残された家族

2000年4月、夫キースが突然この世を去りました。深い悲しみに暮れる間もなく、私は3人の幼い子供と、お腹の中にいる4人目の子供を抱えるシングルマザーとなりました。義理の家族からは「これをきっかけに強くなれる」と言われましたが、当時の私には到底理解できる言葉ではありませんでした。

alt: 結婚式での筆者と夫alt: 結婚式での筆者と夫

専業主婦だった私は、夫の収入が途絶えたことで生活の不安に苛まれました。仕事と保育所を探さなければ、健康保険はどうすればいいのか、頭の中は常に恐怖でいっぱいでした。夫の死という大きな悲しみだけでなく、生活の不安という現実的な問題にも直面しなければなりませんでした。

限界を超えたレジリエンス

幼い頃から「逆境を乗り越え、強く生きなければならない」と教えられてきた私は、どんな困難にも立ち向かおうと努力しました。しかし、夫の死後、心身ともに疲弊していく私を待っていたのは、「レジリエンス・ファティーグ」と呼ばれる状態でした。

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レジリエンスとは、困難な状況に適応する力のこと。しかし、ストレスが過剰で長期にわたると、適応する時間もなく、心身が疲弊してしまうのです。これが「レジリエンス・ファティーグ」です。

レジリエンス・ファティーグの症状

夫の死後、私は常に恐怖と不安に襲われていました。破滅的な未来への不安、動悸、肩こり…これらの症状が当たり前になっていました。しかし、セラピストのエリザベスに出会い、私が抱えているのは「レジリエンス・ファティーグ」だと知りました。

アメリカ心理学会によると、レジリエンスは「困難な状況にうまく適応する過程とその結果」と定義されています。重要なのは「適応」という言葉です。過剰なストレスに長期間さらされると、適応できなくなり、心身のバランスが崩れ、免疫システムにも影響を及ぼす可能性があります。

レジリエンス・ファティーグからの回復

エリザベスとの面談を通して、私は自分の限界を認め、助けを求めることを学びました。レジリエンス・ファティーグを克服するためには、まず自分自身を理解し、適切な休息とサポートを得ることが重要です。「レジリエンス栄養士」の鈴木さとみさん(仮名)も、「心身の回復には、栄養バランスの取れた食事と十分な睡眠が不可欠です」と述べています。

あなたも大丈夫?レジリエンス・ファティーグチェック

  • 慢性的な疲労感
  • 睡眠障害
  • 集中力の低下
  • イライラしやすくなった
  • 食欲不振または過食

これらの症状が続く場合は、「レジリエンス・ファティーグ」の可能性があります。専門家への相談も検討しましょう。

まとめ

「強くなければならない」という思い込みは、時に私たちを苦しめます。困難な状況に直面した時、自分自身を責めるのではなく、助けを求める勇気を持つことが大切です。この記事が、レジリエンスの限界と「レジリエンス・ファティーグ」について理解を深めるきっかけになれば幸いです。