兵庫県知事選は、斎藤元彦知事の再選という結果で幕を閉じました。しかし、選挙戦を振り返ると、従来の選挙活動とは異なる様相を呈していたことが分かります。SNSでの活発な情報発信、そして「推し活」のような熱狂的な支持。これらの現象は、今後の政治のあり方について、私たちに多くの問いを投げかけています。
SNS時代の選挙活動：新たなメディアの影響力
今回の選挙では、SNSが重要な役割を果たしました。特にYouTubeは、斎藤知事を支持する情報を発信する場として機能し、多くの視聴者を集めました。社会学者で日本大学危機管理学部教授の西田亮介氏は、従来のメディアである新聞やテレビの「文法」がSNS時代には通用しなくなってきていると指摘します。選挙期間中の報道抑制といった慣例は、SNSに触れる機会の多い層には理解されにくく、情報のギャップを生む一因となっているのです。
兵庫県知事選の様子
ノンフィクション・ライターの石戸諭氏も、従来メディアの選挙報道は公平性を重視するあまり、無味乾燥なものになってしまったと指摘します。一方、YouTubeでは、よりパーソナルな情報発信が可能となり、視聴者の共感を呼ぶことに成功しました。テレビ画面でもYouTubeを視聴できるようになった現代において、YouTubeは新たなマスメディアとしての地位を確立しつつあると言えるでしょう。
政治の「推し活」化：熱狂の光と影
SNS上では、候補者を応援する「推し活」のような現象も見られました。これは、政治への関心を高めるという点ではポジティブな側面もありますが、熱狂的な支持の裏には、冷静な判断が失われる危険性も潜んでいます。情報操作やフェイクニュースの影響を受けやすくなる可能性も懸念されます。
今後の選挙とメディア：私たちはどう向き合うべきか？
兵庫県知事選は、SNS時代の選挙活動の新たな形を示す事例となりました。情報源が多様化する中で、私たちはどのように情報を取捨選択し、政治に参加していくべきでしょうか。メディアリテラシーの向上がますます重要となるでしょう。また、政治家側も、SNSを効果的に活用しながら、透明性の高い情報発信を心がける必要があります。
今回の選挙を教訓として、今後の政治とメディアの関係性について、より深く考えていく必要があると言えるでしょう。
