尹大統領支持者、裁判官への脅迫行為とデマ拡散で批判殺到

韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の支持者たちが、大統領の逮捕状発付を認めた裁判官に対し、脅迫やデマ拡散といった過激な行動を繰り返していることが波紋を広げている。

裁判官への脅迫行為と個人攻撃

尹大統領の逮捕適否審棄却後、ソウル中央地裁のソ・ジュンソプ判事に対して、オンライン上で殺害予告を含む脅迫や個人攻撃が相次いでいる。

ソウル西部地裁前で抗議する尹大統領支持者ソウル西部地裁前で抗議する尹大統領支持者

あるオンラインコミュニティには「ソ・ジュンソプ、退勤途中に捕まえたら斬首する」というショッキングな書き込みが登場し、警察が捜査に乗り出している。

根拠のないデマ拡散

ソ判事に関するデマも拡散されている。ソ判事が中国の法律に関する著書を執筆したというデマや、中国とつながりがあるという陰謀論まで流布されている。実際には、同姓同名の別人による著書であり、ソ判事とは無関係であることが確認されている。

ソウル西部地裁前で警察と対峙する尹大統領支持者ソウル西部地裁前で警察と対峙する尹大統領支持者

さらに、ソ判事の出身地を理由とした地域差別的な発言も見られ、批判が高まっている。

尹大統領側と与党の責任

こうした支持者たちの過激な行動の背景には、尹大統領側と与党「国民の力」による扇動があるとの指摘が出ている。裁判所が合法的に発付した令状を「違法」と主張し、支持者たちの不満をあおっているという批判の声が上がっている。

著名な憲法学者であるキム・ヨンチョル教授(仮名)は、「司法の独立性を揺るがす危険な行為であり、民主主義の根幹を脅かすものだ」と警鐘を鳴らしている。

歌手IUさんへの誹謗中傷も

尹大統領の弾劾要求集会に参加するファンに飲み物などを提供した歌手IUさんにも、与党支持者からの誹謗中傷が殺到している。「中国人か」「中国に帰れ」といったヘイトスピーチや、政治的立場を攻撃するコメントがSNS上に書き込まれている。

一部の過激な支持者は、IUさんをCIAに通報するよう呼びかける動画を投稿するなど、常軌を逸した行動を見せている。

まとめ

尹大統領支持者による裁判官への脅迫やデマ拡散、そしてIUさんへの誹謗中傷は、深刻な社会問題となっている。表現の自由は保障されるべきだが、他者を攻撃したり、虚偽の情報で混乱を招く行為は許されるべきではない。冷静な議論と民主的な手続きに基づいた解決が求められている。