韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、戒厳令発令を巡る内乱首謀容疑で逮捕状審査に出廷しました。この異例の事態は韓国政局に大きな波紋を広げており、今後の展開に注目が集まっています。大統領の逮捕容認となれば、韓国史上初の出来事となり、政治的混乱は避けられないでしょう。
戒厳令発令をめぐる容疑とは?
尹大統領は、戒厳令発令が大統領の統治行為であり、内乱罪には当たらないと主張しています。しかし、捜査機関である高位公職者犯罪捜査処(公捜処)は、尹大統領の行為が内乱罪に該当すると判断し、逮捕状を請求しました。大統領には不訴追特権がありますが、内乱罪は例外とされています。
韓国の尹錫悦大統領(矢島康弘撮影)
逮捕状審査の行方
ソウル西部地裁で行われた逮捕状審査には、尹大統領自身が出廷し、約40分間にわたって意見を述べました。公捜処と弁護側の双方が激しい攻防を繰り広げ、尹大統領側は公捜処の捜査権限の有無についても争点としました。
逮捕状が発付されれば、尹大統領は最長20日間の拘束が可能となり、捜査は大きく進展する見込みです。一方、発付が認められなければ、尹大統領は釈放され、在宅捜査となるため、公捜処にとっては大きな痛手となります。
緊迫する韓国政局
地裁周辺には尹大統領の支持者らが多数集まり、逮捕状請求への反対を訴えました。この事態は、韓国社会の深い分断を改めて浮き彫りにしています。 韓国政治の専門家である金教授(仮名)は、「今回の逮捕状審査は、韓国の民主主義にとって大きな試練となるだろう」と述べています。今後の司法判断と政治的影響は計り知れません。
尹大統領の決断の背景
当初、尹大統領は逮捕状審査を欠席するとの見方もありましたが、最終的には弁護団の意見を聞き入れ、出廷を決断しました。尹大統領は、戒厳令発令に関与した軍や警察幹部らが逮捕・起訴されたことに心を痛め、彼らの名誉回復のためにも自ら法廷で弁明する必要があると考えたとされています。
過去に弾劾訴追された韓国大統領と主な理由
今後の展望
逮捕状審査の結果は、韓国政局の行方を大きく左右することになります。逮捕状発付となれば、大統領の職務執行に支障が生じる可能性もあり、政治的混乱は避けられません。今後の動向に、国内外から大きな注目が集まっています。