中国でヒトメタニューモウイルス(HMPV)感染症が流行しているというニュースが、世界を駆け巡っています。まるで5年前の新型コロナウイルス感染症のパンデミックの再来を予感させるような状況に、不安を抱く方も少なくないでしょう。一体HMPVとはどのような感染症で、私たちにどのような影響があるのでしょうか。本記事では、HMPV感染症の症状や特徴、そして日本への影響について、専門家の見解も交えながら詳しく解説していきます。
HMPV感染症:その症状と特徴
HMPVは2001年にオランダで発見された比較的新しいウイルスで、パラインフルエンザウイルスと構造が非常に似ています。感染すると、発熱、鼻づまり、咳といった風邪に似た症状が現れます。多くの場合、重症化することは稀で、特に健康な成人は自然治癒することも多いです。
咳をする女性
しかし、小さな子どもや高齢者、免疫力が低下している方などは重症化のリスクが高いため、注意が必要です。肺炎や他の感染症を併発し、最悪の場合死に至るケースも報告されています。感染症専門医の佐藤先生(仮名)は、「HMPVは軽症で済むことが多い一方、高リスク群では重症化のリスクがあるため、油断は禁物です。特に呼吸器系の基礎疾患を持つ方は、早めの受診を心がけてください」と警鐘を鳴らしています。
旧正月の大移動と日本への影響
懸念されるのは、中国の旧正月です。数十億人規模の大移動が予想される中、無症状の感染者が国内外に拡散するリスクが高まっています。2019年の旧正月には約72万人の中国人観光客が日本を訪れており、今年も多くの観光客が来日すると予想されます。
人混み
HMPVの潜伏期間は2~3日と比較的短いため、感染に気づかないままウイルスを拡散させてしまう可能性も否定できません。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は、「HMPVの感染拡大を防ぐためには、一人ひとりの感染対策が重要です。こまめな手洗い、うがい、マスクの着用など、基本的な感染対策を徹底しましょう」と呼びかけています。
流行中のインフルエンザとの同時流行にも警戒を
現在、日本ではインフルエンザが記録的な流行を見せています。HMPVとインフルエンザの同時流行も懸念されており、医療機関への負担増加が予想されます。厚生労働省は、インフルエンザワクチンの接種を推奨するとともに、HMPVの感染状況についても注視していく方針です。
まとめ:HMPV感染症への対策と今後の展望
HMPV感染症は、軽症で済むことも多いですが、高リスク群では重症化のリスクがあるため、注意が必要です。特に中国からの渡航者が多い日本においては、感染拡大のリスクが高まっていると言えるでしょう。こまめな手洗い、うがい、マスクの着用といった基本的な感染対策を徹底するとともに、発熱や咳などの症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。今後のHMPVの感染状況については、引き続き関係機関からの情報に注意を払い、適切な対策を講じていく必要があります。