兵庫県議会百条委員会委員を務めていた元県議・竹内英明氏が1月18日夜、逝去されました。自宅からは遺書は見つかっておらず、自殺とみられています。この突然の訃報を受け、ネット上では様々な憶測が飛び交い、SNSにおける誹謗中傷問題が改めて注目されています。
ネットの暴力:辞職後も続く誹謗中傷
竹内氏は、兵庫県知事選における告発文書調査をめぐり、SNS上で激しい誹謗中傷を受けていました。元同僚議員であるひょうご県民連合の上野英一氏は、竹内氏が信頼していた支持者からさえも疑念の目を向けられ、精神的に追い詰められていた様子を語っています。辞職という決断をしてもなお、ネット上での誹謗中傷は止むことはなく、竹内氏の苦悩は深まるばかりでした。
亡くなった元兵庫県議・竹内英明氏
竹内氏に近い関係者によると、年末頃から竹内氏の状態は深刻化し、病院にも通っていたといいます。「時間が解決すると思っていたが、辞職後もデマが流れ続け、耐えられなかったのではないか」と、無念さをにじませています。
ひょうご県民連合・上野英一県議
上野氏は、優秀な議員を追い込んでしまうネットの怖さ、そしてそれを武器として選挙を戦う怖さを改めて訴えています。SNSの普及により、誰もが簡単に情報を発信できるようになった一方で、真偽不明の情報や悪意のある誹謗中傷が拡散しやすく、深刻な事態を引き起こす危険性も高まっていると言えるでしょう。
事実無根の情報拡散:N党・立花氏の動画削除
政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏は、自身のYouTubeチャンネルで竹内氏が任意の取り調べを受けていた、逮捕されるのが怖くて自殺したなどと発信し、情報が拡散されました。しかし、兵庫県警トップの村井紀之本部長は、これらの情報を完全否定。竹内氏に対する任意の取り調べや逮捕の事実は一切ないと明言しました。その後、立花氏は「警察の捜査妨害になる可能性がある」として、当該動画を削除しています。
「辞職してからもデマを流され、本人の状態は悪化」と知人
この一件は、ネット上で拡散される情報の真偽を見極めることの重要性を改めて示しています。著名人の発言であっても、必ずしも真実とは限らないことを認識し、情報の出所や信憑性を確認する必要があります。
N党・立花氏の投稿を県警トップが否定
SNSと政治:冷静な情報発信の必要性
斎藤元彦兵庫県知事は、竹内氏の訃報を受け、SNSの冷静な利用を呼びかけました。匿名性の高いインターネット空間では、感情的な発言や誹謗中傷がエスカレートしやすく、取り返しのつかない結果を招く可能性があります。情報発信者には、責任ある行動と倫理観が求められます。
今回の事件は、SNSの利用における課題を浮き彫りにするとともに、政治とネット社会の複雑な関係性を改めて問いかけるものとなっています。情報リテラシーの向上、プラットフォーム事業者による対策強化など、多方面からの取り組みが不可欠と言えるでしょう。