参議院選挙で15議席を獲得し、注目を集めた参政党。同党が掲げるスローガン「日本人ファースト」は、「日本人でないものは後回し」という意識を内包し、差別や排外主義を助長し、社会に深刻な分断をもたらすとの指摘がなされてきた。また、自らと異なる主張をする者に対し「日本人ではない」とレッテルを貼り、排除につながる懸念も広がっている。この「日本人ファースト」という言葉の真意について、参政党の神谷宗幣代表に話を聞いた。
「日本人ファースト」の真の意図とは?反グローバリズムの視点
「日本人ファースト」という言葉が、外国人差別や排外主義を煽るとの批判に対し、神谷代表は「全くその意図はない」と明確に否定している。彼は、「日本人ファースト」の根本的な意味合いは「反グローバリズム」にあると説明する。「まさか外国人差別と結び付けられるなんて、思ってもいませんでしたよ」と、自身の驚きを表明した。
このスローガンは、以前の衆議院選挙で使われた「日本をなめるな」というキャッチコピーが「言葉も強く、何を言っているか分かりにくい」との声を受け、より分かりやすくするために考案された経緯がある。神谷代表自身は当初「政治はロックだ」といった別のフレーズを検討していたが、党員からの強い反発と、党員が独自に行ったアンケート調査の結果から「日本人ファースト」が選ばれたという。
参政党の神谷宗幣代表。参院選での「日本人ファースト」を巡る論争について語る。
差別助長への懸念と代表の見解
選挙戦中、神谷代表はインタビューで「日本人ファースト」について、「選挙の間だけなので終わったらそんなことで差別を助長するようなことはしません」と発言していた。この発言が「差別を助長した」との認識があるのかという問いに対し、神谷代表は次のように釈明した。
「私たちは(外国人差別・排除の)意図は全く持っていないけれど、みなさんがそうおっしゃるから、『そう聞こえるのなら、これは選挙のキャッチコピーだからずっと言い続けるわけじゃないです』とお伝えしたんです」。彼は、この言葉で「傷つく人がいる」と強く指摘されたため、党としてはそのような意図はないこと、そしてキャッチコピーは選挙ごとに変更するものであるため、そこまで厳しく言われる必要はないというニュアンスで話したと述べた。
神谷代表は、たとえキャッチコピーが変わったとしても、「反グローバリズム」という政策の核心は変わらないと強調している。これは、「日本人ファースト」が単なる選挙スローガンに留まらず、参政党の根幹をなす政策思想の一部であることを示唆している。
結論
参政党の「日本人ファースト」というスローガンは、その解釈を巡って大きな議論を呼んでいる。神谷宗幣代表は、この言葉が指すのは「反グローバリズム」であり、外国人差別や排外主義を意図するものではないと繰り返し説明している。キャッチコピーは選挙ごとに柔軟に変更する可能性を示唆しつつも、同党の主要政策である反グローバリズムの姿勢は揺るがないことを明確にしている。この見解は、同党の今後の活動や政策展開を理解する上で重要な情報となるだろう。
参考文献:
- Yahoo!ニュース: 参政党「日本人ファースト」差別助長の意図は? 神谷宗幣代表が“真意”を説明(AERA dot.)