川崎女性遺体事件:元交際相手の白井秀征被告再逮捕、警察の対応に広がる疑問と批判

神奈川県川崎市の閑静な住宅街で、岡崎彩咲陽(あさひ)さん(当時20)の遺体が発見されたのは、今年4月30日夜のことでした。この痛ましい事件は、被害者が生前から粘着質なストーカー行為に苦しめられ、再三警察に相談していたにもかかわらず最悪の事態に至ったことから、警察の対応への厳しい目が向けられています。

事件発生から約3ヶ月が経過した現在、岡崎さんの親族宅には、「守られるはずの命でした。だからこそ、あの時の判断と対応の説明が必要です。ストーカー対策の見直しと警察への説明責任を求めます」と訴える署名活動のポスターが掲げられています。SNS上でも、「見殺しだ」「神奈川県警のずさんな対応のせい」といった辛辣な意見が散見され、深い悲しみの中にいる親族もまた、やりきれない思いを抱えています。

事件の経緯と白井秀征被告の逮捕

岡崎さんは昨年12月から行方不明となっており、家族や友人らが懸命に捜索を続けていました。しかし、4ヶ月以上経って発見された岡崎さんの遺体は、すでに白骨化した状態でした。

川崎女性遺体事件:元交際相手の白井秀征被告再逮捕、警察の対応に広がる疑問と批判

事件の発覚から3日後、神奈川県警はこの家の住人であり、岡崎さんの元交際相手である白井秀征被告(27)を逮捕しました。白井被告はすでに死体遺棄、死体損壊、ストーカー規制法違反の罪で起訴されており、さらに7月12日には、殺人の疑いで再逮捕されました。全国紙社会部記者によると、「白井被告は昨年12月20日頃、神奈川県内で岡崎さんを殺害した疑いがかけられています。これは岡崎さんの連絡が途絶えた時期とほぼ一致しており、捜査関係者が岡崎さんの行方不明までの経緯や、被告の行動を慎重に調べた結果、殺人の容疑が固まったとされています。被告は容疑に関して黙秘を貫いています」とのことです。

ストーカー行為と警察への複数回の相談

NEWSポストセブンが過去に取材した岡崎さんの祖母の姉によれば、白井被告と岡崎さんの関係は「くっついては離れての繰り返し」でした。昨年4月ごろから交際を始めたとみられていますが、まもなく岡崎さんは被告から暴力を受けるようになったといいます。同年10月頃には親族が間に入り、関係を“解消”しましたが、この時期から白井被告は岡崎さんを執拗につけ回すようになりました。

捜査関係者の情報では、岡崎さんや親族は昨年4月から10月の間、白井被告のDV行為などについて神奈川県警に何度も相談していました。つきまとい行為は10月以降、徐々にエスカレートし、失踪直前には特に事態が悪化していたとみられています。さらに、昨年12月9日から20日までの間には、岡崎さんから警察に対し、「白井が家の周りをうろついている」「自転車を盗まれた」など、計9回もの通報があったことが明らかになっています。この通報が途絶えた時期に岡崎さんが殺害されたとみられており、警察の対応の妥当性が厳しく問われています。

岡崎さんがアルバイトしていた飲食店の店長も、彼女が白井被告からの被害を訴えていたことを証言しています。

まとめと今後の焦点

今回の川崎女性遺体事件は、ストーカー被害の深刻さと、それに対する警察の対応のあり方を改めて社会に問いかけるものとなりました。岡崎彩咲陽さんの命が守られなかった背景には何があったのか、そして警察の対応に問題はなかったのか、白井秀征被告の裁判の進展と共に、真実の究明と説明責任の徹底が強く求められます。この事件が、同様の悲劇を繰り返さないための教訓となるよう、世間の注目が集まっています。