日韓関係の転換期となる2025年。日本の敗戦80年、そして日韓基本条約締結60年を迎えるこの年に、東京大学の和田春樹名誉教授や月刊誌「世界」の岡本厚元編集長をはじめとする日本の知識人、市民団体が、日韓基本条約の解釈における日韓間の溝を埋め、北朝鮮との国交正常化交渉再開を求める声明を発表しました。本稿では、彼らの訴えと、今後の日韓、日朝関係の展望について詳しく解説します。
日韓基本条約:解釈の相違が影を落とす歴史的課題
日韓基本条約に関する記者会見の様子
声明では、1965年に締結された日韓基本条約、特に第2条と第3条における日韓間の解釈の違いが、両国関係の進展を阻害する要因となっていると指摘しています。
1910年の併合条約の有効性:日韓の主張の隔たり
日韓基本条約第2条は、1910年以前の条約は無効であると規定しています。しかし、日本政府は1910年の韓国併合は合意に基づくものとし、1948年の韓国独立により無効になったと解釈する一方、韓国側は併合条約自体が不法であり、無効だと主張しています。 この歴史認識の相違は、長年にわたり両国間の不信感を醸成してきました。 和田名誉教授は、21世紀において前世紀の帝国主義時代の併合を正当化する意味はどこにあるのかと問いかけ、過去の談話にも触れながら、日本側が韓国側の解釈に歩み寄る必要性を強調しました。 国際政治学者である佐藤健太郎氏(仮名)も、「歴史認識の共有は、未来志向の日韓関係構築の礎となる」と指摘しています。
朝鮮半島の唯一の合法政府:時代遅れの条文
記者会見で発言する和田春樹名誉教授
さらに、第3条における韓国の統治範囲についても、韓国は朝鮮半島全域を、日本は国連の監視下で行われた選挙が実施された地域のみを合法的な統治範囲と解釈しており、双方の見解に食い違いが生じています。 声明では、朝鮮半島に二つの国家が存在する現状を踏まえ、この条項の修正が必要であると訴えています。 現代の国際情勢を鑑みれば、この条項は時代遅れであり、現実を反映していないと和田名誉教授は主張しています。
日朝国交正常化:地域平和への道筋
声明は、日朝国交正常化交渉の再開を強く求めています。 地域の緊張緩和と平和構築のためには、日朝間の対話が不可欠であり、韓国市民からも日朝国交正常化を望む声が上がっていると指摘しています。 専門家の中には、日朝国交正常化は北東アジアの安全保障環境の安定化に大きく貢献するとの見方もあります。
未来志向の日韓、日朝関係へ
声明は、敵対ではなく和解、対立ではなく協力、そして相互尊重の精神が、真の友好関係を築く基盤であると締めくくっています。 日韓基本条約締結60年の節目に、歴史認識問題に向き合い、未来志向の両国関係を構築することが求められています。 また、日朝国交正常化は、北東アジアの平和と安定に大きく寄与する可能性を秘めています。 今後の日韓、日朝関係の動向に注目が集まります。