春節を目前に控え、日本はインフルエンザの猛威に加え、新たなウイルスの脅威にさらされています。中国で流行中のヒトメタニューモウイルス(hMPV)が、日本にも上陸する可能性が懸念されています。
hMPVとは?その症状と危険性
hMPVは、2001年にオランダで発見されたウイルスで、咳、発熱、鼻づまりなど、風邪に似た症状を引き起こします。毎年日本でも感染者が確認されており、特に乳幼児や高齢者にとっては、気管支炎や肺炎などの重症化リスクがあります。過去には死亡例も報告されており、その感染力の強さも特徴です。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏によると、hMPVは感染力が非常に強く、乳幼児や高齢者は重症化しやすいと指摘しています。2016年には、日本の高齢者施設で集団感染が疑われる事例が発生し、入所者28人が発症、うち3人が亡くなっています。
中国の春節(旧正月)に旅行する中国人たち
中国での感染状況と春節の影響
中国では、2024年12月上旬からhMPVの感染者が急増しています。中国在住のジャーナリストによると、病院は患者で溢れかえり、新型コロナウイルス流行直前の状況を彷彿とさせるとのことです。hMPVの流行は既にインド、アメリカ、イギリスなどにも広がっており、バングラデシュでは初の死亡例も報告されています。
1月28日から始まる中国の春節(旧正月)の大型連休が、更なる感染拡大の要因となることが懸念されています。多くの中国人が国内外へ旅行するため、hMPVが日本に持ち込まれるリスクが高まっています。
日本の現状:インフルエンザとマイコプラズマ肺炎の流行
日本国内では、インフルエンザが過去最多の感染者数を記録し、医療体制は逼迫しています。札幌市では救急搬送の遅延が発生し、タミフルのジェネリック医薬品の供給も一時停止されました。さらに、昨年夏から続くマイコプラズマ肺炎の流行も終息していません。
このような状況下でhMPVが上陸すれば、医療システムへの更なる負担は避けられません。専門家の中には、複数の感染症の同時流行による「医療崩壊」を危惧する声も上がっています。
hMPVへの対策と今後の展望
hMPVに対する特効薬はなく、対症療法が中心となります。手洗い、うがい、マスクの着用など、基本的な感染対策を徹底することが重要です。また、発熱や咳などの症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。厚生労働省は、今後の感染状況を注視し、必要な対策を講じていく方針です。
専門家の見解
感染症専門医の佐藤先生(仮名)は、「hMPVは、インフルエンザと同様に飛沫感染や接触感染で広がるため、基本的な感染対策を徹底することが重要です。特に高齢者や基礎疾患のある方は、重症化リスクが高いため、より注意が必要です。また、春節期間中は、中国からの旅行者との接触を避けるなど、感染リスクを最小限に抑えるよう心がけてください」と注意を呼びかけています。
日本政府は、水際対策の強化や情報提供の徹底など、hMPVの国内への流入を防ぐための対策を強化していく必要があります。国民一人ひとりが感染予防に努め、医療システムへの負担を軽減することが重要です。