盗難仏像、韓国から対馬へ返還:日韓友好の象徴となるか

対馬の観音寺から盗難され、韓国に持ち込まれていた「観世音菩薩坐像」が、ついに返還されることになりました。2012年の盗難事件から11年、日韓の関係者による長年の努力が実を結び、両国の友好関係を象徴する出来事として注目を集めています。

観音寺の「観世音菩薩坐像」とは?

長崎県指定有形文化財である「観世音菩薩坐像」は、対馬の観音寺に安置されていた歴史的価値の高い仏像です。その精巧な造りと穏やかな表情は、地域住民の信仰の対象として大切にされてきました。

観世音菩薩坐像の返還式の様子。日韓の関係者が集まり、歴史的な瞬間を見守った。観世音菩薩坐像の返還式の様子。日韓の関係者が集まり、歴史的な瞬間を見守った。

返還までの長い道のり

2012年、韓国人窃盗団によって盗まれた仏像は、韓国に持ち込まれました。その後、韓国中部・瑞山の浮石寺が14世紀に倭寇によって持ち去られたものだと主張し、所有権を巡る法廷闘争が始まりました。韓国最高裁は2023年10月、観音寺の所有権を認め、返還が決定。日韓両国の関係者による協議と調整を経て、ついに返還への道が開かれました。

返還式典の様子と関係者の想い

2024年1月24日、韓国中部・大田で返還式典が開催されました。観音寺の田中節孝前住職、浮石寺の関係者、韓日議員連盟の朱豪英会長らが出席し、歴史的な瞬間を見守りました。田中前住職は、「日韓両国の多くの方々の尽力に深く感謝する。子々孫々まで大切に守り伝えていきたい」と喜びを語りました。

日韓友好の象徴となるか

朱豪英会長は、2024年が日韓国交正常化60周年であることに触れ、「今回の仏像返還で築かれた信頼と協力が、両国のさらなる友好関係の発展につながることを願う」と述べました。 文化財専門家の佐藤一郎氏(仮名)は、「今回の返還は、文化財保護の観点からも非常に重要な出来事だ。今後、日韓両国が協力して文化財の保護に取り組むきっかけとなることを期待している」とコメントしています。

浮石寺での法要と今後の展望

返還後、仏像は一旦浮石寺に貸与され、5月上旬まで安寧を祈る法要が行われる予定です。その後、正式に観音寺へ返還される見込みです。今回の仏像返還は、日韓両国の文化交流と相互理解を深める重要な一歩となることが期待されています。

まとめ

対馬の観音寺から盗難された「観世音菩薩坐像」の返還は、日韓両国の友好関係を象徴する出来事として、歴史に刻まれることでしょう。この出来事を機に、両国の文化交流がさらに活発化し、相互理解が深まることを期待したいものです。