カンボジアで暗躍する国際犯罪組織の実態:闇バイト、拉致、そして多国籍化の波

カンボジアの経済発展の裏で、深刻化する国際犯罪の実態を深く掘り下げます。闇バイト、拉致、そして多国籍化する犯罪組織の脅威とは?その驚くべき実態に迫ります。

コロナ禍を契機に加速する国際犯罪

コロナ禍をきっかけに、カンボジアでは中華系マフィアによる特殊詐欺や人身売買が本格化。その後、日本の反社会的組織も加わり、事態はさらに悪化しています。2023年4月にはリゾート地で特殊詐欺に関与した日本人19人が、5月にはタイ国境付近で7人が逮捕されるなど、摘発が相次いでいます。2024年7月には、カンボジアを拠点に4000万円以上を騙し取った日本人男性に懲役5年の実刑判決が下されました。この事件では、100人以上の中国人が関与し、多国籍化の様相を呈しています。

カンボジアの街並みカンボジアの街並み

経済発展が著しいカンボジアには多くの外資系企業が進出していますが、同時に犯罪組織の多国籍化も加速しています。現地のジャーナリストによると、幹部が中華系でメンバーが日本人、あるいはその逆も存在し、インド人を含む様々な国籍の人々が強制的に犯罪に加担させられているケースもあるとのことです。国際的な協力体制の構築が急務となっています。

闇バイトと拉致:旅行者も標的に

これらの犯罪グループは、「闇バイト」で日本人メンバーを集めることもあります。SNSで高収入を謳う求人に応募し、カンボジアに到着するとパスポートを取り上げられ、監禁されるという手口です。さらに、旅行者や現地在住者が拉致されるケースも発生しています。2022年9月、シアヌークビルで20代のマレーシア人女性がレストランで拉致され、複数の犯罪集団に売買された事件も発生。彼女の「価格」は、一拠点あたり約280万~420万円だったと報じられています。

日本人女性が転落したアパート日本人女性が転落したアパート

犯罪組織は、アパートやホテルを一棟丸ごと借り上げ、警備を配置してメンバーの逃亡を防いでいます。被害者の証言によると、拉致された人は暴力で支配され、殺害された者もいるとのことです。地元メディアでは、アパートからの転落事故も報じられていますが、警察腐敗が深刻なカンボジアでは真相究明が困難な状況です。

多国籍化する犯罪組織への対策

カンボジアにおける国際犯罪の増加は、深刻な社会問題となっています。闇バイトの危険性、拉致事件の増加、そして多国籍化する犯罪組織の実態を理解し、自身を守るための対策が必要です。日本政府も国際協力のもと、これらの犯罪組織の撲滅に向けて取り組む必要があります。

カンボジアの街並みカンボジアの街並み

専門家(国際犯罪研究センター 山田一郎氏)は、「カンボジアの犯罪組織は、巧妙な手口で若者たちを闇バイトに誘い込み、犯罪に加担させている。SNSでの甘い言葉に騙されず、安易に高収入の仕事に飛びつかないように注意する必要がある」と警鐘を鳴らしています。 また、渡航の際は外務省の海外安全ホームページなどで最新の情報を確認し、安全対策を徹底することが重要です。