「社内では清潔感のあるスーツ姿で、まだ若いのに落ち着いた雰囲気の人でした。勤務態度に問題があるという噂も聞いたことがありません。あれほど残酷な事件を起こす人だとは想像もできませんでした」
1月21日、瀬戸内海に浮かぶ広島・大久野島でウサギを蹴ったとして、堀田陸容疑者(25才)が動物愛護法違反の現行犯で逮捕された。堀田容疑者と同じ会社に勤務する同僚は、容疑者の信じ難い一面に驚いた様子でそう話した。
事件が起きた大久野島には、野生のウサギが約500匹生息している。和やかな時間が流れる「ウサギの島」としても知られているが、昨年11月から異変が続いていた。まとまった数のウサギが死んでいるのが3回確認され、合わせて77匹の死骸が見つかっていた。
「足の骨が折れ、鼻血を流して死んでいたウサギもいました。明らかに病死などではない。不自然な死に方に、島内では人間の関与を疑う見方が強くなっていました。そして1月21日の夕方、島で長年ウサギを撮影してきた写真家夫婦が、にんじんでおびき寄せたウサギを蹴り飛ばした男を目撃して取り押さえたんです。ウサギは痙攣した後、死んでしまいました」(捜査関係者)
男は警察の調べに容疑を認め、「去年から何度も来て同じようなことをした。ウサギがかわいいと思う半面、いじめたらどんなリアクションをするのか気になった」と供述した。犯罪心理に詳しい心理学者の碓井真史氏が解説する。
「まず動物虐待の動機の1つが、王様気分に快感を覚える支配欲です。そして、“かわいいのにいじめる”行為は、好きな女子をからかう、幼稚ないじめっ子の精神状態と似ています。支配欲を満たすことができるウサギにかわいさを覚え、自らの虐待に苦しむ反応が楽しくなった。その感情が、“楽しく殺す”という相反する思考にエスカレートしたと想像できます」
犯行現場まで車で片道4時間以上かかる滋賀県大津市に住んでいた堀田容疑者は、冒頭の同僚が証言したように、平日はまったく別の顔を持っていた。前出の捜査関係者が続ける。
「容疑者は日本のトップ繊維メーカーである『東レ』の関連会社の社員だということがわかっています」
容疑者が勤務する会社は、主に生産管理システムなどのソフトウエア開発・販売を行っている。同社の総務部は本誌『女性セブン』の取材に「当社の社員であることは間違いありません。今後の対応は、現在協議中です」と答えた。
埼玉県出身の容疑者は高校でサッカー部に所属。卒業時には友人らと一緒に写る写真をXに投稿し、充実した高校生活を振り返っていた。地元から遠く離れた滋賀県で、どのような生活を送っていたのか。別の同僚が明かす。
「口数は少なく、社内でもほとんどひとりだったと思います。真面目で寡黙な人という印象です。会社の近くには、夕方にだけ開く社員専用の食事処があるんです。単身者の多くが利用する場所なのですが、彼の姿を見たことはないですね。あの人が本当にウサギ殺しをしていたのであれば、同じ会社の人間として許せないし、迷惑をかけたかたがたに申し訳ないという気持ちです」
現在、島内ではウサギの死骸の数の集計途中で、「今後さらに増える見込み」だという。
※女性セブン2025年2月13日号