2025年、山口組分裂抗争は大きな節目を迎えます。抗争勃発から10年、そして六代目山口組・司忍組長体制発足から20年というこの年に、抗争終結への期待と新たな火種への懸念が入り混じっています。この記事では、2024年の抗争の振り返り、キーマンの思惑、そして今後の展望について深く掘り下げていきます。
2024年:抗争の混迷と転機
2024年は、抗争の長期化による混迷と、いくつかの転機が同時に見られた年でした。主な出来事を以下にまとめます。
- 絆會の金澤成樹若頭逮捕:六代目山口組にとって脅威であったヒットマンの逮捕は、抗争の構図に変化をもたらしました。
- 六代目山口組傘下山健組の中田浩司組長無罪判決:名門ヤクザである山健組の組長復帰は、六代目山口組の勢力強化に繋がると見られています。
- 愛媛県スターバックス銃撃事件、宮崎県銃撃事件:抗争の激化を示す凶悪事件は、社会に大きな衝撃を与えました。前者は池田組若頭による犯行、後者は弘道会系組員による池田組への報復とされています。
alt六代目山口組 司忍組長(左)と竹内照明若頭補佐(右)。2024年12月の納会での一コマ。司組長の眼光は鋭く、20年の歳月を経ても衰えを感じさせない。
ジャーナリストの溝口敦氏は、これらの事件を踏まえ、抗争の複雑化と六代目山口組の勢力変化を指摘しています。
キーマンたちの思惑:抗争終結への道筋
2025年は、抗争終結への機運が高まる年となるのでしょうか。溝口氏は、10年という長期戦は終結させなければならないとし、過去の例を挙げ、六代目山口組が一方的に終戦を宣言する可能性を示唆しています。
司組長と高山清司若頭は、終戦を念頭に置いた動きを見せているとされています。高山若頭は弘道会の支配強化と世代交代を視野に入れ、竹内照明若頭補佐への若頭継承も検討している可能性があります。
一方、神戸山口組の井上邦雄組長は沈黙を保っています。元山口組系暴力団会長でNPO法人代表の竹垣悟氏は、井上組長の苦悩を推察し、進退を決めるのが難しい状況にあると分析しています。
神戸山口組の衰退と抗争の最終局面
神戸山口組は衰退の一途を辿っており、幹部不在という異常事態に陥っています。六代目山口組との戦力差は歴然としており、抗争の終結は避けられない情勢です。
しかし、最終局面において更なる流血の可能性も否定できません。竹垣氏は、潜伏する組員による襲撃の可能性を指摘し、抗争の行方は予測不可能だと述べています。
警察庁長官の発言に見られるように、警察の暴力団対策は匿名・流動型犯罪グループへのシフトが見られます。これは抗争の行方に大きな影響を与える可能性があります。溝口氏や他のジャーナリストは、六代目山口組が神戸山口組の解体を最終目標としており、井上組長の命を狙う可能性も排除できないと警告しています。
2025年、混沌の先にあるもの
2025年は、山口組分裂抗争の終結、あるいは更なる激化という岐路に立たされています。多くの犠牲の上に築かれた抗争の終焉は、どのような形で訪れるのでしょうか。混沌とした状況の中で、緊張感は高まるばかりです。