今回うろついたのは、かつて「お風呂激戦区」と言われた江戸川区の船堀だ。有名な銭湯や健康ランドが相次いで閉店しているけれど、裸の付き合いはまだまだ健在。
この連載では、一般的な「住みたい街ランキング」には登場しないけれど、住み心地は抜群と思われる街をターゲットに定め、実際に歩き、住む人の声と、各種データを集めてリポート。定番の「住みたい街」にはない「住むと、ちょっといい街」の魅力を掘り起こしていく。
【画像16枚】かつては「お風呂激戦区」、今も“裸の付き合い”は健在の船堀。筆者が訪れた銭湯ではまさかの厚遇も…!
■いろいろ楽しい「タワーホール船堀」
よそ者の私からすると、船堀はなんといってもタワーの街である。
駅前にそびえる高さ115mの船堀タワー(東京都江戸川区船堀4-1-1/正式名称は「タワーホール船堀」)の展望台は103mで、そこから街を一望することができる。この高さがちょうどいい。
東京タワーだと頂上までが333mで、トップデッキは250m。東京スカイツリーは頂上が634mで、天望回廊は450m。高すぎる。
東京タワーは港区芝公園、東京スカイツリーは墨田区押上にある。しかし、あれだけ高いので他の街や区、あちこちからその姿を見ることができる。
「うちは窓からスカイツリーが見えるんだ」と自慢する中野区民の友人もいる。こうなると、高すぎるタワーはその街だけのものじゃない気がしてくる。
ところが115mの船堀タワーは船堀のものだ。もちろん異論もあろうが、私はそう信じている。
■文化施設の中に潜入してみよう
都営地下鉄新宿線の船堀駅(江戸川区船堀3-6-1)を出るとすぐに、船堀タワーが目に入る。巨大なホールケーキに巨大なろうそくが刺さっているような姿である。タワーを含むタワーホール船堀は1999年にオープンした江戸川区の文化施設だ。
ケーキの部分には、コンサートホールや映画館、展示ホールや駐車場、レストラン、結婚式場、書店などの民間施設だけでなく、産業振興センターや東京商工会議所といった公的施設も入っていて、地元の人たちに愛されている。
7階の「サロン・ド・サロン」はコーヒーや紅茶が380円(税込)で楽しめるレストランだ。平日の昼間に訪れた。
40近くある席は、地元の人たちでほぼ埋まっていた。いったん中央にある席に案内されたが、そのタイミングで窓際のテーブルのお客さんが立ち上がってレジに向かった。