今国会で審議開始!パートの厚生年金加入、厚生年金で国民年金を補填、在職老齢年金引き上げー私たちの年金は本当に大丈夫か?
どうなる「106万円の壁」
1月24日から始まる通常国会で、年金改革が審議される。注目が集まるのが、「106万円の壁」だ。現状では、週の労働時間が20時間以上であっても、年収が106万円未満なら配偶者の社会保険の扶養となり、社会保険に加入する必要がなかった(配偶者が会社員のケース)。
ところが、今国会で政府案が認められれば、週の労働時間が20時間以上ならすべてのパートタイム労働者が勤務先の社会保険に加入することが義務付けられる(次ページ表参照)。
「106万円の壁」が「週20時間の壁」に代わり、この壁を超えてしまうと社会保険料を支払う必要が出てくるのだ。
マネーステップオフィス代表の加藤梨里氏が解説する。
「他にも小規模な勤務先(50人以下の法人)に勤める人には、『130万円の壁』があります。会社員や公務員の妻などが年収130万円以上稼ぐと配偶者の扶養から外れてしまうのです。
現行の仕組みだと、年収160万円程度までは税金や社会保険料などにより、扶養内に比べて手取りが減るとされます。逆に言うと、160万円以上稼ぐと、手取りが増えていくということ。現状は人手不足で賃金も上がっていますから、働ける方は160万円以上を目指すのが一つの目安となるでしょう」
問題は社会保険料が労働者と企業で折半ということだ。「106万円の壁」が撤廃されれば、企業が負担する社会保険料も増大する可能性がある。
「日本企業の多くは中小企業です。社会保険料の負担が増えることは、経営にとって大きなダメージであり、そのため、事業主側からの反発が予想されます。そこで政府は企業側への支援策を検討しているようです。
労働者側への補助制度は現状でもすでにあるので、社会保険への加入で手取りが減ることを避けたいのであれば、国の補助を申請するよう、勤務先にかけ合ってみる価値はあると思います」(加藤氏)