日本の不動産売買市場で問題となっている「囲い込み」の実態と、2025年1月から施行された新ルールによる対策、そして消費者が賢く家探しをするためのポイントを解説します。
不動産囲い込みとは?その手口と被害
不動産売買において、売主と買主それぞれから仲介手数料を得ようとする業者の不正行為が「囲い込み」です。売主から依頼を受けた業者が、他の業者からの購入希望を意図的に阻害し、自社で買主を見つける、あるいはより低い価格で売却させることで、利益を最大化しようとします。
例えば、売主の希望価格が1億円の場合、本来であれば1億円で売却できれば売主にもメリットがありますが、囲い込み業者は9000万円で購入希望者を見つけて、両方の仲介手数料を受け取る方が自社にとって有利になるため、意図的に情報を操作するのです。
巧妙化する囲い込みの手口
以前は「商談中」と偽るなど分かりやすい手口が多かったそうですが、近年は巧妙化しています。例えば、内見を希望しても、売主の都合や担当者の不在を理由に延ばし、その間に別の買主を探し出すケースが増えているようです。らくだ不動産の山本直彌副社長によると、内見を2ヶ月も待たされ、最終的に別の買主に売却されていたという事例もあるとのこと。
alt="内見の様子:明るいリビングルームで、ソファに座って物件資料を見ているカップルの様子。窓の外には緑豊かな景色が広がっている。"
新ルールで囲い込みはなくなる?その効果と課題
2025年1月から、国土交通省は宅地建物取引業法の施行規則を改正し、物件情報の登録を義務化しました。これにより、囲い込みの是正を目指しています。違反した業者には指示処分が出され、改善が見られない場合は更なる指導が行われます。
摘発は誰が行う? 規制の実効性に疑問の声も
しかし、この新ルールにも課題が残っています。レインズ(不動産流通指定機構)の情報は仲介業者しか閲覧できず、消費者や都道府県の担当者も直接確認することができないのです。つまり、誰が違反行為を発見し、摘発するのかが明確ではありません。
消費者ができる対策:賢い家探しのための3つのポイント
では、消費者はどのようにして囲い込みから身を守れば良いのでしょうか? いくつか具体的な対策を提案します。
複数の不動産会社に相談する
一つの業者に絞らず、複数の業者に相談することで、情報操作のリスクを減らすことができます。各業者の提示する情報や対応を比較することで、囲い込みの可能性も見抜きやすくなります。
相場を事前に調べておく
物件の相場を事前に調べておくことで、不当に低い価格で売却させられるリスクを回避できます。国土交通省の土地総合情報システムなどを活用し、周辺の取引事例を参考にしましょう。
専門家の意見を聞く
不動産取引に不安がある場合は、弁護士や不動産コンサルタントなどの専門家に相談することをお勧めします。専門家の客観的なアドバイスは、大きな助けとなるでしょう。例えば、不動産コンサルタントの山田花子さん(仮名)は、「消費者は情報収集を怠らず、疑問点があれば遠慮なく質問することが大切です」と述べています。
まとめ:情報収集と比較検討が大切
不動産取引における囲い込みは、消費者に大きな損害を与える可能性があります。新ルールによって改善が期待されますが、消費者が自ら情報収集を行い、複数の業者を比較検討することが重要です。賢く家探しを進め、理想のマイホームを実現しましょう。