ウクライナ紛争の停戦交渉をめぐり、プーチン大統領とゼレンスキー大統領の主張が真っ向から対立しています。プーチン大統領は交渉の用意を示唆しつつも、ゼレンスキー大統領の任期満了を理由に交渉権限に疑問を呈する一方、ゼレンスキー大統領はプーチン大統領が交渉を恐れていると非難。泥沼化する紛争の出口は未だ見えず、両者の主張の食い違いが停戦への道のりをさらに険しいものにしています。
プーチン大統領の主張:ゼレンスキー大統領は任期切れ?
プーチン大統領は、ゼレンスキー大統領の任期が過ぎていることを理由に、彼には交渉の権限がないと主張しています。「交渉相手は誰でも良い」としながらも、「ゼレンスキー氏は非合法であり、署名する権利がない」と指摘。もしゼレンスキー氏が交渉に参加するのであれば、ロシア側も担当者を派遣する用意があるものの、最終的に合意に署名できるのかが問題だと述べています。
プーチン大統領
ゼレンスキー大統領の反論:プーチン大統領こそ交渉を恐れている
これに対し、ゼレンスキー大統領はプーチン大統領の主張を真っ向から否定。「プーチン大統領は交渉を恐れ、強い指導者を恐れ、戦争を長引かせるためにあらゆる手段を講じている」と反論。プーチン大統領の策略は全て戦争を終わらせないことを目的としていると非難しています。
ゼレンスキー大統領の任期はいつまで?
ウクライナメディア「キーウ・インディペンデント」によると、ロシアの侵攻開始後に発令された戒厳令により、大統領選挙は延期されています。戒厳令がなければ、2024年3月31日に大統領選挙が実施され、ゼレンスキー大統領の任期は2024年5月20日に終了する予定でした。
ウクライナ情勢
戒厳令下での選挙実施の難しさ
米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、現在のウクライナ情勢下での選挙実施は不可能だと報じています。ロシアによるミサイル攻撃の脅威、戦闘中の兵士や難民、ロシア占領下の人々の選挙権確保など、多くの課題が山積しているためです。国際政治学者である田中一郎氏(仮名)は、「民主主義を守るために戦うウクライナにとって、選挙の実施は理想ではあるが、現状では極めて困難な状況にある」と指摘しています。
停戦交渉の行方
プーチン大統領とゼレンスキー大統領の主張の食い違いは大きく、停戦交渉の行方は依然として不透明です。国際社会の仲介努力も続けられていますが、両者の歩み寄りは見られず、ウクライナ紛争の終結への道筋は見えていません。