人生100年時代と言われる現代、熟年離婚を選択する人が増えています。離婚後の生活、特に老後のお金について不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。この記事では、熟年離婚と老後の生活設計について、離婚カウンセラー岡野あつこさんの知見を交えながら解説します。経済的な自立を実現し、自分らしいセカンドライフを送るためのヒントを探ってみましょう。
年金分割制度:熟年離婚の経済的支え
熟年離婚を考える上で重要なのが「年金分割制度」です。この制度により、専業主婦だった妻も、婚姻期間中に夫が支払った厚生年金の一部を受け取ることが可能になりました。
専業主婦にとっての朗報
従来、夫の年金に頼っていた専業主婦は、経済的な不安から離婚をためらうケースが多く見られました。しかし、年金分割制度の導入により、離婚後の生活設計に大きな変化が生まれています。具体的には、専業主婦(第3号被保険者)の場合、結婚していた期間の夫の厚生年金の半分を受け取ることができます(3号分割、2008年4月以降の婚姻生活期間が対象)。これにより、経済的な自立への道が開かれ、離婚という選択肢が現実味を帯びてきました。
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男性側の視点と変化する社会
一方で、夫側から見ると、合意なく年金が分割されることになります。特に、再婚相手が厚生年金に加入している場合、3号分割がないため、熟年離婚後の経済的負担を軽減できると考える男性もいるようです。離婚カウンセラーの岡野あつこさんは、「『今回は安心だ』と話す男性もいる」と現状を指摘しています。このように、年金分割制度は、離婚を取り巻く状況に大きな変化をもたらしていると言えるでしょう。
夫婦間の意識のズレ:離婚の決断を後押しする要因
長寿化が進み、人生100年時代が現実味を帯びる中で、「寿命まで今の生活を続ける」という考え方は変化しつつあります。特に、夫婦間の意識のズレが、離婚の決断を後押しするケースも少なくありません。
「オレの年金」という意識
「夫が稼いだお金は夫のもの」という考え方が根強く残る夫婦関係では、妻は経済的に不安定な立場に置かれがちです。岡野さんは、「『オレの年金』『オレの退職金』という夫の態度に失望し、離婚を決意する妻が多い」と指摘しています。経済的な自立を求める女性にとって、このような意識のズレは、離婚という選択をより現実的なものにする要因となっているのです。
変化する価値観と女性の自立
現代社会では、女性の社会進出が進み、経済的自立を目指す女性が増えています。結婚生活においても、対等なパートナーシップを築きたいと考える女性は多く、夫の収入に頼らず、自分らしく生きたいという思いが強まっていると言えるでしょう。このような価値観の変化も、熟年離婚の増加に影響を与えていると考えられます。
自分らしいセカンドライフに向けて
熟年離婚は人生の大きな転換期です。経済的な不安を解消し、自分らしいセカンドライフを送るためには、事前の準備が不可欠です。年金分割制度の理解を深め、将来設計をしっかりと立てることが大切です。専門家のアドバイスを受けることも有効な手段と言えるでしょう。自分らしい未来を切り開くために、積極的に情報収集し、行動を起こしてみましょう。