テスラ、電気自動車販売台数減少で低価格モデル投入へ!価格競争激化の行方は?

電気自動車(EV)市場の王者、テスラが苦境に立たされています。世界的なEV販売の鈍化を受け、2022年の自動車売上は前年比6%減少し、年間販売台数の減少は創業以来初めてのこと。競合他社の攻勢も激しく、テスラは巻き返しを図るべく、低価格モデルの投入や自動運転サービスの展開に注力しています。EV市場の価格競争は激化の一途を辿り、今後の動向に注目が集まっています。

テスラの現状:販売台数減少と利益率低下

テスラの2022年の売上高は976億9000万ドルと前年比1%増を記録しましたが、自動車売上は770億7000万ドルで前年比6%減、営業利益も20%減の70億7600万ドルとなりました。営業利益率も9.2%から7.2%に低下しています。販売台数も178万9225台と、前年の180万8581台から1%減少しました。

altalt

テスラは、在庫車両の割引販売や研究開発費の増加が業績低迷の要因と説明しています。実際、昨年10-12月期には「モデルY」の在庫車両を最大4000ドル割引して販売しました。一方、中国のBYDは176万台のEVを販売し、テスラに肉薄しています。BYDはハイブリッド車などを含めたエコカー販売では427万台を達成し、3年連続で世界トップの座を維持しています。

テスラの反撃:低価格モデル「モデルQ」とロボタクシー

テスラは、巻き返し策として低価格モデル「モデルQ」の投入を計画しています。上半期に3万ドル台での発売を予定しており、「モデル3」の最安値(4万4130ドル)よりも大幅に低価格帯となります。「モデルQ」は小型ハッチバックで、より幅広い層へのアプローチを目指しています。

さらに、CEOのイーロン・マスク氏は、完全自動運転のロボタクシーサービスを6月にテキサス州オースティンで有料で開始すると発表しました。ドライバー不在の完全自動運転サービスの実現は、モビリティサービスの革新につながる可能性を秘めています。

激化するEV市場の価格競争

テスラだけでなく、他の自動車メーカーも低価格EVの開発・販売に力を入れています。ゼネラルモーターズ(GM)は3万ドル以下の「ボルトEV」、ホンダも「ゼロ」シリーズで3万ドル未満の小型EVを発売予定です。現代自動車グループも「EV3」「EV4」「EV5」と低価格帯のラインナップを拡充する計画です。

自動車業界の専門家、大徳大学のイ・ホグン教授は、「初期市場から大衆市場への移行に伴い、低価格EVの需要が高まっている」と指摘しています。

このように、EV市場は価格競争が激化しており、各社の戦略が今後の市場シェアを左右する重要な要素となるでしょう。テスラが新型モデルや新サービスで巻き返しを図れるのか、競合他社がどこまでシェアを伸ばせるのか、今後の動向から目が離せません。