中国の薛剣(せつけん)駐大阪総領事が2025年11月8日深夜、X(旧Twitter)に衝撃的な投稿を行い、日本政府が中国側に対し厳重な抗議を行いました。この投稿は、高市早苗首相の台湾有事をめぐる発言に対するもので、「その汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやる」という極めて暴力的な表現が含まれており、後に削除されたものの、日本国内外で大きな波紋を呼んでいます。今回の事態は、外交関係における言葉の重みと、公職者の発言が持つ影響力を改めて浮き彫りにしています。
薛剣総領事の不適切発言と日本政府の対応
問題の発言は、朝日新聞デジタルが報じた『高市首相、台湾有事「存立危機事態になりうる」認定なら武力行使も』という記事を薛剣総領事が自身のXに引用し、「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか」と書き込んだものです。これは高市首相の「台湾有事が日本の『存立危機事態』に該当する場合、武力行使も可能」とする答弁に対する直接的な脅迫とも受け取れる内容でした。
木原稔官房長官は、この投稿について「中国の在外公館の長の言動として極めて不適切と言わざるを得ません」と強く非難しました。外務省および在中国大使館を通じて、中国政府に対しこの件について申し入れを行い、厳重に抗議するとともに、問題の投稿の速やかな削除を求めました。外交官としての品位を欠く言動に対し、日本政府は断固たる姿勢を示しています。
高市早苗総理大臣、就任後初の会見(2025年10月21日)
著名人からの批判の声と過去の経緯
薛剣総領事の今回の投稿は、「殺害予告」とも受け取れる暴力的な発言として、各界から強い批判を浴びています。テレビ局の政治部記者も「自分の国の首相に対し“汚い首を斬ってやる”なんて言われたら、小学生だって嫌悪を抱くほどの暴言だ」と述べ、政府の抗議は当然であるとし、中国側の早急な回答を求めています。
この問題に対し、著名人も沈黙を破り、懸念を表明しています。登山家であり元衆議院議員出馬打診経験もある野口健氏は、「これは『殺害予告』とも受け取れる。総理への殺害を示唆した以上、国外追放も選択肢の1つだ」と厳しく断罪しました。タレントのフィフィ氏も「米国なら国外追放」と指摘し、実業家のひろゆき氏は「尖閣諸島周辺に中国海警局の機関砲を搭載した船が常駐してる状況で、この物言いを許すとエスカレートするかと。それでも『遺憾』を表明するだけなのかな?」と、今後の外交問題の激化を危惧するコメントを寄せています。
さらに、元不登校YouTuberで現在高校生のゆたぼん氏も、「中国の大阪総領事の投稿、これは高市早苗総理に対する殺害予告じゃないか?絶対に許せない!投稿を削除して済むと思うなよ!皆さん、拡散お願いします!日本なめんな!」と、若者ならではのストレートな言葉で強く批判を展開しました。このような若い世代からも批判の声が上がることは、公的な発言の重さや暴力的な言葉を使うことの不適切さについて、多くの日本国民が共通認識を持っていることを示しています。
薛剣総領事は、以前にも「『台湾有事は日本有事』は日本の一部の頭の悪い政治屋が選ぼうとする死の道だ」など、強い言葉で日本政府の政策を批判する投稿を行ってきました。過去には、日本の選挙に関して特定の政党への投票を呼びかけるような投稿もあり、その際も日本政府は外交ルートを通じて「極めて不適切」として抗議し、投稿の削除を要請した経緯があります。
今回の発言は、その中でも特に暴力的かつ悪質であり、日中関係における新たな緊張を生む可能性を秘めています。日本政府は、この極めて重大な事態に対し、引き続き毅然とした態度で中国側に早急な対応を求めていくことが求められています。





