【シネマプレビュー】閉鎖病棟-それぞれの朝-





(C)2019「閉鎖病棟」製作委員会 

 長野県のとある精神科病院の、出入り口が常に施錠された閉鎖病棟を舞台に、家族や社会から疎まれながらも懸命に生きようとする患者たちをめぐるヒューマンドラマ。

 病棟には、死刑執行が失敗し、生きながらえた元死刑囚(笑福亭鶴瓶)や幻聴が聞こえるようになった元サラリーマン(綾野剛)、義父の性的暴行が原因で不登校になった女子高生(小松菜奈)らさまざまな過去を持った患者がいた。人の不幸を黙って見ていられない心優しい元死刑囚は、再び殺人を犯してしまう。

 人生に不条理な出来事はつきものだ。他者によって、自分の意思とは関係なく不幸に陥れられることもある。自己犠牲の下、その落とし前をつけてくれた人を誰が責められようか。

 「人間の優しさとは」「正義とは」「人が生きていくということは」-。さまざまな問いを投げかけてくる作品だ。精神科医で作家の帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)の山本周五郎賞受賞作が原作。平山秀幸監督が原作にほれ込み、初めて自ら脚本を書き、映画化された。

 1日から東京・新宿バルト9、大阪・梅田ブルク7などで全国公開。1時間57分。(啓)

 ★★★☆(★5傑作 4見応え十分 3楽しめる 2惜しい 1がっかり ☆は半分)



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