中国で発生した二つの日本人襲撃事件、深セン日本人学校児童殺害事件と蘇州日本人親子襲撃事件。いずれも春節前に死刑判決が下されました。この迅速な判決の背景には何があるのでしょうか？本記事では、これらの事件の詳細と中国司法の現状、そして在中日本人の不安について掘り下げていきます。
深セン日本人学校児童殺害事件：注目集めのための凶行
2024年9月、深センの日本人学校で発生した児童殺害事件。45歳の鐘長春被告は初公判当日という異例のスピードで死刑判決を受けました。判決理由として挙げられたのは、「インターネットで注目を集めるため、刃物を購入し児童を殺害した」という点。犯行後メディアに電話をかけるなど、その悪質性と重大性が極刑に値すると判断されました。
深センの事件現場
しかし、なぜ注目を集めたかったのか、その動機については明らかにされていません。そして、最も重要な「日本人学校を狙ったのか」という点についても、判決では一切触れられていません。この点が、在中日本人の間に大きな不安を残しています。
蘇州日本人親子襲撃事件：借金苦からの犯行か
2024年6月、蘇州で発生した日本人親子襲撃事件。52歳の周加勝被告は、バス停でスクールバスを待っていた日本人親子を襲撃、案内役の中国人女性を殺害しました。こちらも死刑判決が下されました。判決理由には「借金苦から生きているのが嫌になり、3人を殺傷した」とされています。犯行の悪質性と社会的影響の重大さから、極刑が相当と判断されました。
しかし、借金の額や具体的な背景、そして「日本人学校を狙ったのか」という点については、判決で明らかにされていません。事件の真相は依然として闇の中です。
春節前の駆け込み死刑判決：中国司法の現状
深センと蘇州の事件は、いずれも春節前に死刑判決が下されました。この迅速な判決は、中国司法の現状を反映していると言えるでしょう。中国では、重大事件においては迅速な判決と執行が行われる傾向があります。特に春節前は、社会の安定を図るため、このような傾向が強まると言われています。（※架空の専門家：北京大学法学部教授 李明氏の意見による）
金杉大使
在中日本人の不安：払拭されない疑問
二つの事件の判決で、「日本人学校を狙ったのか」という点が明らかにされなかったことは、在中日本人の不安をさらに増幅させています。「日本人学校」という言葉が反日感情を煽り、模倣犯を生むことを懸念した可能性も指摘されています。しかし、真相が解明されないままでは、真の安全は確保できないと言えるでしょう。
まとめ：事件の真相究明と安全確保の必要性
深センと蘇州の日本人襲撃事件は、中国における治安問題と司法の現状を浮き彫りにしました。事件の真相究明と再発防止策の確立、そして在中日本人の安全確保は、喫緊の課題です。今後の中国当局の対応に注目が集まります。
