Jリーグ2025年シーズン開幕を前に、アビスパ福岡の監督就任が話題となっている金明輝氏。過去にサガン鳥栖で暴力や暴言による指導で問題となり、処分を受けた彼が再びJ1の舞台に立つことについて、様々な意見が飛び交っています。今回の記事では、この問題を通して、日本のスポーツ界における暴力・ハラスメント問題の根深さと、真の解決策について考えてみたいと思います。
金明輝氏の指導者復帰:JFAの判断は適切だったのか?
2021年、金氏はサガン鳥栖の監督時代に、選手への暴力・暴言が発覚し、指導者ライセンスをS級からA級へ降格処分を受けました。その後、JFAの更生プログラムを経てS級ライセンスを再取得し、町田ゼルビアのコーチ、そして今季からはアビスパ福岡の監督に就任しています。JFAは更生プログラムの効果を強調し、金氏の更生を認める姿勢を見せていますが、本当にそれで暴力の根は絶たれたのでしょうか?
altサガン鳥栖時代の金明輝氏。指導者としての資質が問われている。(写真:新潮社)
元浦和レッズのセルヒオ・エスクデロ氏は、JFAの判断に疑問を呈しています。「アルゼンチンでは、同様の問題を起こした指導者は二度と現場に立てない。小学生チームでさえもだ」と語り、日本のスポーツ界における暴力・ハラスメント問題への意識の低さを指摘しています。 更生プログラムを受けたからといって、指導者の根底にある考え方が変わるわけではないのではないか、という懸念は拭えません。
スポーツ界の暴力・ハラスメント:繰り返される悪循環
日本のスポーツ界では、指導者による暴力・ハラスメントが後を絶ちません。小学生からプロまで、様々なレベルで問題が発生しており、そのたびに処分が下されます。しかし、根本的な解決には至っていないのが現状です。
JFAの影山雅永技術委員長は、金氏について「周囲から応援してもらえる監督になってほしい」と述べていますが、暴力・ハラスメントの被害を受けた選手たちの心情を考えると、この発言はあまりにも軽率ではないでしょうか。
暴力・ハラスメントを根絶するために
真の解決のためには、JFAだけでなく、各スポーツ団体、そして指導者自身が変わっていく必要があります。具体的には、以下のような取り組みが重要です。
- 暴力・ハラスメントに関する明確な規定と厳格な罰則
- 指導者向けの研修プログラムの充実
- 被害者への適切なサポート体制の構築
- 指導者、選手、保護者間のコミュニケーションの促進
未来のスポーツ界のために
スポーツは、人々に夢と希望を与える素晴らしいものです。しかし、暴力・ハラスメントによって、その輝きが失われてしまってはなりません。子供たちが安心してスポーツを楽しめる環境、そして指導者が選手の人格を尊重し、共に成長していく関係性を築ける未来を目指し、私たち一人ひとりが真剣に考え、行動していく必要があるのではないでしょうか。