高市首相、就任早々の積極外交で世界を舞台に躍動~振る舞いを巡る議論と評価

高市早苗首相(64)は、所信表明演説で掲げた「日本外交が世界の真ん中で咲き誇る」というキャッチフレーズの実現に向け、就任からわずか10日あまりで多忙を極める外交日程をこなしています。彼女の積極的な姿勢は国内外から注目を集めていますが、その個性的な振る舞いについては、一部で賛否両論が巻き起こっています。日本の国際社会での存在感を高めるべく、精力的に活動する高市首相の初期外交と、それに伴う波紋について深く掘り下げます。

高市首相、就任10日で過密外交日程を消化

就任早々、高市首相は国際舞台での存在感を示すべく、精力的に動き始めました。10月26日にはマレーシアに渡り、ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議に出席。28日には東京でトランプ米大統領(79)を迎え、日米首脳会談を実施しました。さらに、30日には韓国を訪問し、李在明大統領(61)と現地で会談。31日も韓国で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議に出席し、同日中には中国の習近平国家主席(72)との首脳会談も実現させるなど、極めて密度の高い日程を消化しました。

この一連の動きは、主要同盟国であるアメリカ、そして隣国である中国や韓国といった、日本にとって特に重要な国家の首脳たちとの関係構築を優先する高市首相の外交戦略を明確に示しています。11月22日からは南アフリカでのG20首脳会議も控えており、その国際的な活躍にさらなる期待が寄せられています。

日米首脳会談での「型破りな」振る舞いへの波紋

高市首相の外交手腕が評価される一方で、その「振る舞い」については、一部で議論の的となっています。特に日米首脳会談後の一幕は、多くの関心を集めました。トランプ氏の提案で大統領専用ヘリコプター「マリーンワン」に同乗し、横須賀米軍基地での演説に臨んだ際のことです。

演説中、トランプ氏が高市首相を「尊敬している」と兵士たちに紹介し、会場の熱気が高まると、高市首相はぴょんぴょんと飛び跳ね、その場で腕を掲げるポーズを披露しました。また、トランプ氏から肩を抱かれる場面も見られました。こうした高市首相の行動に対し、SNS上では「幼稚に見える」「対等な関係には見えない」といった批判的な声が一部で上がりました。しかし、その親しみやすさや積極性を評価する意見も存在し、彼女の個性的な外交スタイルが議論の対象となっていることを示しています。

APEC会議で見せた“陽キャ”なコミュニケーション術

日米首脳会談での振る舞いが波紋を呼ぶ一方で、高市首相の社交的な一面が国際会議の場で遺憾なく発揮された場面もありました。10月31日、APEC首脳会議の会場での出来事です。

各国首脳が会場入りし、立ち話などで交流を深める中、高市首相は早めに着席していました。彼女の右隣にはインドネシアのプラボウォ大統領(71)が座り、資料を読み込んでいました。高市首相は数秒間プラボウォ氏の様子を見つめた後、キャスター付きの椅子に座ったまま、笑顔でプラボウォ氏に近づきました。高市首相の接近に気づいたプラボウォ氏は、手を合わせて笑顔で応じました。言語によるコミュニケーションが難しい中、高市首相はジェスチャーを交えながら意思表示を行い、一緒に手元の資料を覗き込むなど、積極的にプラボウォ氏と交流する様子が捉えられました。

韓国の放送局「MBC」のYouTubeチャンネルでこの場面が公開されると、日本のX(旧Twitter)ユーザーの間でも拡散され、プラボウォ氏との距離を縮める高市首相のコミュニケーション能力を評価する声が多数上がりました。ユーザーからは「無邪気でシンプルでストレート、しかも予測がつかない人が一番強い」「完全に『オタクくんに興味あるギャルと、ギャルに話しかけられてびっくりするオタク』の図」「視線や表情をみるに一瞬でアンテナを張ってものすごく相手や周囲の雰囲気を読んでいる」といった好意的な意見が寄せられました。中には「石破さんには出来んアプローチ」と、前年のAPECで座ったまま握手や一人でスマートフォンを操作する姿が報じられた石破茂元首相(68)と比較する声もありました。

高市早苗首相、国際会議で外交手腕を発揮する様子高市早苗首相、国際会議で外交手腕を発揮する様子

報道関係者からは、「現地メディアで報じられている限りでは、非常に自然な距離の詰め方に思える。椅子に座りながら近づくのは斬新だが、本格的な会合前の空き時間であれば、これくらい砕けた方がむしろリラックスした雰囲気を作り出せるかもしれない」との見解も示されています。「また、急に近づくのではなく、タイミングを見計らっている点も、相手への配慮が見て取れる。東南アジア各国のトップが一堂に会する絶好の機会であり、昨年のAPECでの石破氏のような振る舞いと比較しても、高市首相の方がはるかに積極的な姿勢が感じられる」と、彼女の外交スタイルを肯定的に捉える声も聞かれます。

成果が求められる高市外交の今後

高市首相が就任早々に見せた積極的かつ個性的な外交スタイルは、国際社会における日本の存在感を高める上で注目すべき点です。賛否はあれど、彼女の社交性と主体性は、従来の外交に新たな風を吹き込む可能性を秘めています。

しかし、国際政治の舞台において最終的に求められるのは、形式的な交流や親睦だけでなく、具体的な外交成果です。高市首相の一連の精力的な活動が、日本国の利益にどのように結びつき、国際協力や地域の安定にどれほど貢献できるのか、その真価は今後の成果によって測られることになるでしょう。高市外交の今後の展開と、それがもたらす結果に、引き続き国内外からの熱い視線が注がれています。

参考文献